「花粉で鼻がつまる人」がコロナにやられる訳 「鼻うがい」と「足あたため」の意外な効果
だが、口呼吸だと、吸い込んだ空気がそのまま喉や気道を直撃する。粘膜が乾燥して繊毛の働きが鈍り、エアロゾル中の病原体を除去しきれなくなる。夜寝ている間に鼻が詰まり、喉がカピカピに渇いて目が覚めた、という経験があるかもしれない。感染が起きやすい危険な状態だ。
特に、花粉症で「喉がかゆい、イガイガする」といった症状がある場合、花粉が喉の粘膜に付着して炎症を起こしている。炎症というのは免疫反応の一種で、要するに花粉を外敵と間違って必死に攻撃を加えている。
その間、ウイルスなど本当の外敵に対する免疫防御は疎かになっている可能性が高い。
しかもこれは、花粉症患者だけの問題ではない。以前の記事(「花粉症と「コロナ感染リスク」の意外に深い関係」)でご紹介したように、独ミュンヘン工科大学ほかの国際共同研究チームは一昨年、
●世界31カ国のデータを解析したところ、空気中の花粉濃度が上昇してから4日後に新型コロナの感染率が上がる傾向が見られた
との論文を、立て続けに発表した。ロックダウンしない状態では、1メートル四方の空間に漂う花粉が100粒増えるごとに新型コロナ感染率が平均4%上昇し、感染率の変動の44%は花粉によって説明できるとしている。
自然免疫は、外敵の侵入に対し最前線で抵抗する。いわゆる「獲得免疫」(ワクチンや過去の感染で記憶した外敵を、抗体などの武器で攻撃・排除する仕組み)よりも原始的かつ普遍的な、第一防御システムだ。
自然免疫の正常な働きが妨げられるなら、花粉の大量飛散は、新型コロナほかあらゆる呼吸器感染症へのリスクを高めることになる。
花粉症?それともコロナ?
では実際、鼻や喉に不快な症状が現れたとき、花粉症のせいなのか、それとも風邪やコロナ、感染によるものか、どう見極めたらいいだろう? ポイントは、「発熱」と「喉の痛みの変化」だ。
新型コロナやインフルエンザは、呼吸器感染症ではあるが、結局のところ全身疾患だ。
発症すれば、微熱であってもほぼほぼ発熱するし、頭痛がしたり、体がだるかったり、気分が優れなかったりする。胃腸に症状が出ることもある。また、喉の痛みがある場合は、最初はごく小さな違和感から次第に広がって強まっていく。
他方、花粉症の場合は、発熱はまずない。鼻の症状が強まると酸欠で頭がぼーっとすることはあるが、頭痛は少ない。
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