地方の島にも続々開設「子ども食堂」急増の"なぜ" 前年より1300カ所増、地方に多く展開している

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むすびえの湯浅誠理事長は、調査結果発表の記者会見で「貧困対策というスティグマが薄れ、地域住民の交流拠点という認識が浸透してきたことが食堂開設を後押しした」と分析。過疎化の進んだ地域でこそ、住民の「にぎわい」をつくり出す場として子ども食堂が求められていると訴えた。

また鹿児島県では従来、食堂が鹿児島市内に集中していたが、2022年4月以降に開設された6つの食堂は、すべて島しょ部にあるという。

かごしまこども食堂・地域食堂ネットワークの園田愛美さんは会見で「『子ども食堂』が住民の見守りと交流の拠点だという認識が広まって『子どものための場所だから、大人は行ってはいけない』という人々の誤解が解け、高齢者と子どもたちが喜んで交流する場面があちこちで見られるようになった」と話した。

「油が高いので揚げ物減らす」物価高に悲鳴

ただ、いまだに多くの食堂がコロナ禍で会食を復活できず、弁当配布などに切り替えるか、会食を再開しても定員を設けて少人数で実施するなど、感染対策を余儀なくされている。さらに物価高が運営を直撃した。

アンケートの自由記述からは「油が高いので揚げ物を控えるようになった」「弁当のお米を10グラム減らした」「運営者が持ち出しになったら活動を続けられない」といった切実な声も聞かれた。しかし中には、「こういう時だからこそ、子どもたちの楽しみを減らしたくないので、質や量を落とさず歯を食いしばって頑張っている」との意見もあった。

湯浅理事長は「多くの団体は、知恵を絞って提供の頻度や品数を減らさず、利用者に負担も転嫁せず踏みとどまっている」と話す。

運営の負担を軽くし食堂の持続性を高めるには、各地域になるべく多くの子ども食堂をつくることが重要だ。近隣団体が順番に食事を提供すれば、各運営者の負担は分散され、子どもたちも毎週どこかの食堂にアクセスできるようになる。

むすびえは、全小学校区に少なくとも1つは子ども食堂が存在する社会を目指すとしている。現在、1つの小学校区に対する子ども食堂の充足率は全国平均25.92%で、4つの小学校区に最低1つ食堂がある、という計算だ。

民間団体の運営する子ども食堂だけで、目標を達成するのは限界もある。湯浅代表は「お寺やコンビニエンスストア、自治会、町内会など、さまざまな拠点に子ども食堂の機能をインストールすることで、社会の『支え合い』のスタンダードをつくりたい」と先を見据える。

有馬 知子 フリージャーナリスト

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ありま ともこ / Tomoko Arima

共同通信社を経て2018年独立。取材テーマはひきこもり、児童虐待、性暴力被害や多様な働き方など。

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