新宿駅「京王線」「京王新線」迷う人多発の“不思議" なぜか路線図にない「京王新線」の謎を追った
京王線のホームは平日の朝8時台とは思えない、人の少なさだった。J子さん親子は不安に感じ、忙しそうな駅員に「多摩方面に向かう電車はここから乗ればいいですか?」と尋ねると、駅員は「はいそうです。笹塚から乗り換えてください」と説明してくれた。事前にGoogleの乗り換え案内で調べたのと同じルートだ。
安心して、ホームで息子と別れたという。しかし、それから約30分後、冒頭のSOSが息子から発せられたのだ。
「後になってわかったのは、息子が降り立ったのは京王新線のホーム。しかし友達はそこから歩いて5分くらいはかかる京王線のホームだったのです。結局、待ち合わせに遅れた上に乗り遅れ、部活に遅刻したそうです。その時はじめて京王線の新宿駅は2つあるのか、と驚きました。せめて新宿京王新線駅など駅名を変えることはできないのでしょうか」
「京王線新宿駅」「新線新宿駅」実は“同じ駅”
乗る者を惑わせてしまう京王線の新宿駅。毎日50万人を超える人が利用する京王線の中でも随一の駅だ(京王線サイトより)。
新宿駅で乗ることができる京王線(路線の名称)のホームは2つある。1つは新宿~京王八王子間を走行する「京王線(運行系統の名称)」のホーム。もう1つが新宿~笹塚間を走行する「京王新線」のホームだ。
戦前からある「京王線」に対し、「京王新線」は1978年10月に開業した線路で、当初から都営地下鉄新宿線との相互直通運転を前提としていた。
新宿駅は、京王電鉄のほかにJR東日本・小田急電鉄・東京メトロ・東京都交通局が乗り入れているターミナル駅だ。相互直通運転をするためには既存の駅改修が容易ではなかったのか、京王新線の新宿駅は京王線の新宿駅から改札間では徒歩数分ほど西方向に離れた地下30メートルの場所に作られた。