ローソンは、一流の上司をどう育てるか? 赤羽雄二×ローソン玉塚元一社長が激論!
私もいくつか日本の企業を経験しました。その領域で言うと、「組織の生産性やアウトプットを最大化するためには何が必要なのか」という具体論を、その上司の業務や行動、姿勢に踏み込んで実践している会社は非常に少ないと思います。
赤羽:そのとおりです。ほとんどないでしょうね。
「生産性」を見る基準はあるか?
玉塚:そうですよね。すると、ある水準を超えた途端に、個人技の領域を出ないし、なんだかよくわからない抽象的な視点で、「Aくんはしっかりしている」「Bさんはよくできている」といった主観的な評価になってくる。
そうして、組織全体としては数値で計ろうとするんだけど、これがなかなか難しい。数値結果というのはいろんな要素が入ってきますから。
赤羽:評価の点で言えば、いい会社は数値結果も定性的な結果も両方見ますが、悪い会社は数値結果すらも見ないんですよね。上司としてのあり方が考えられることは少なく、また、部下の生産性をどう上げて、どう育てたか、というところもほとんど見られていません。
玉塚:そこを赤羽さんは突っ込んで、具体的に何をしなければいけないのか、ということをずっと考えてこられたと思うのです。僕が昔、ファーストリテイリングにいたときにも、赤羽さんにお世話になったのですが、上司がどう成長するべきなのか、ひいては人事の評価軸まで、多岐にわたって、いろいろと指導してもらいました。アウトプットのイメージの大切さ、部下への関与の仕方とか、そういった指導を受けて、当時のファーストリテイリングの組織の生産性や上司の働き方が、すごく変わったんですよね。
ローソンでも、そういうことを体系立ててやったことがこれまでなかったのです。“これがいちばん大事だ”、“目的達成のためにはこれが必要だ”ということを明確にして、組織全体でしっかり目線を合わせていく。
赤羽さんの本に書いてあることをほんとうに実践に移さないといけない。組織全体で部下への接し方や育て方、「上司の仕事ってこうだよね」ということを示して、結果として全体の生産性を上げていくということに、真剣に向き合わなければいけないと思います。
玉塚:そもそも、人間の能力って、1000人に1人の天才を除けば、大きな差はないんですね。どこで違いが出てくるかと考えると、出会ってきた人物や、どんなチャレンジをしてきたかということがとても大きい。
赤羽:環境で変わりますね。上司がどういう仕事の仕方をして、どう仕事をしてきたかが、部下の仕事に決定的に作用します。
玉塚:部下の可能性を引き出すのは、あくまで上司の責任だと考えています。また、私自身がつねに気をつけていることは、思いや考えがちゃんと伝わっているかということです。