KTM「1290スーパーアドベンチャーR」走りの本質 人気アドベンチャーモデル最高峰の実力を確認

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LC8エンジン
1301ccで最高出力160ps、最大トルク138Nmを発揮するLC8エンジン(東洋経済オンライン編集部撮影)

搭載されるエンジンは、このセグメントでもっとも軽量でコンパクト、もっとも高性能と謳われる、排気量1301ccの挟角75度V型2気筒、不等間隔爆発エンジンで最高出力160psを発揮する。ボア108mm×ストローク71mmのオーバースクエアのため、1気筒に異なるサイズのプラグを2本採用し、燃焼効率を向上させている。

スロットルには、ライドバイワイヤーを採用する。組み合わせられるデバイスは、ボッシュ製のMTC(モーターサイクルトラクションコントロール)で、ミリ単位で車体の挙動をつかみ、即座にライダーズエイドとして機能する仕組みだ。

強烈なトルクを生み出すエンジン

試乗シーン
1290 スーパーアドベンチャーRの試乗シーン(東洋経済オンライン編集部撮影)

さっそく走らせてみると、1301cc・Vツインエンジンのトルクは強烈だ。オーバースクエアデザインと、最新のEURO5(ヨーロッパのきびしい排ガス規制)に適合させながらもトルク低下などいっさいなく、低速回転から中速回転まで優れたドライバビリティをみせてくれる。他メーカーのどのモデルとも比べようのない爆発感覚は、2気筒ならではの鼓動を伝えながらも驚くほどにスムーズに走る。

それ以上にドラマティックなのは、中速回転からの回転上昇の速さだ。超ショートストローク設計のエンジンは、右手のスロットル操作を超えて回転が上がろうとする。不用意にスロットルを開けてしまえば容易にホイールスピンを誘発するが、電子デバイスにより、すぐにスロットルボディのステッピングモーターが正しいスロットル開度への修正を行い、適切なトラクションを回復する。

車両重量は、221kg(乾燥重量)とセグメントでトップクラスの軽さ。エアロダイナミクスを追求した大きめのボディが走行抵抗を減らし、ライダーへのプロテクション効果を充分に発揮していることがわかる。大柄のボディもあり、ビジュアル的に手に負えないモンスターマシンといった様相だが、乗ってしまえば軽快感そのもので、ドライバビリティの高いエンジン性能と相まって、思わずヘルメットの中で笑みが出てしまう。

WRサスペンション
フロントのWPサスペンション(東洋経済オンライン編集部撮影)

市街地での走行では、ストップ&ゴーでのアクションに好感が持てた。KTMが資本傘下に納めるWPサスペンションは、KTMのMotoGPマシンにも採用され優勝を飾っている足まわりで、これが快適に作動してくれるおかげで、大きな車体ながらも取りまわしは良好だ。

さらには高速巡航では、75度Vツインの不等間隔爆発エンジンの心地よい排気サウンドと足まわり、満足のいくライダーへのプロテクション効果、ラリーレイドシートの快適な形状により、まさに疲れ知らずのアドベンチャーモデルの真骨頂を感じることになった。

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