KTM「1290スーパーアドベンチャーR」走りの本質 人気アドベンチャーモデル最高峰の実力を確認

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走行シーン
オフロードでの走行シーン(筆者撮影)

一方、オフロードでもその性能は充分に感じることができる。前後ホイールに装着されたブリヂストンAX41は、大型アドベンチャーモデルユーザーからオン・オフ問わず高い性能と安定性で人気のタイヤだ。こういったプロダクツを選ぶあたりに、KTMがアドベンチャーRを幅広いユーザー層へ届けたいという想いが伝わってくる。

今回は、試乗できる時間の都合上、前後サスペンションをオフロードセットに変更しなかった。これは、むしろ一般的な使い方であろうし、旅先で出会ったオフロードに進入するたびにサスペンションセットを変えるユーザーも少ないだろう。前後のWPサスペンションは、スタンダードセットだとリアが少し固めだが、セグメントとしては上出来な220mmというストローク量を確保しているので、充分に安定した感触を掴むことができた。

流石に、ダカールラリー連勝で得たノウハウは、細い林道でも取りまわしのよさが際立ち、わだちの回避や突発的な環境変化におけるブレーキング時にも、オフロードABS(リアのみキャンセル)も秀逸な作動感をみせてくれた。最大排気量のパワーを使うのではなく、最大排気量の持つ「ゆとり」ともいえるエンジンキャラクターこそが、アドベンチャーRの魅力だと納得させられた。

乗り手を高揚させるシフトフィール

走行シーン
ストップ&ゴーの多い街中での走行シーン(東洋経済オンライン編集部撮影)

オン・オフを通して感じたことは、シフトフィーリングのよさも挙げられる。2輪車は、依然として左足でのギア操作が基本であり、多くのライダーがその操作を楽しんでいる。1速から6速までのスムーズなシフト操作は、オプションのテックパックに含まれている「クイックシフター」で作動するオートブリッパーの精度が上がったとしても、乗り手が感じる部分だ。このあたりにもKTMの加工精度の高さを感じた。

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かつて大人気であった大型ネイキッドマシンや、スーパースポーツモデルからの乗り換えが多いアドベンチャーモデル。その魅力はなんといってもアップライトな取りまわしのよさ、そしてスタイリッシュなデザインだ。それらに加え、最新技術の電子デバイスの採用は、新たなセグメントが確立したといえる。

KTM 1290 スーパーアドベンチャーRは、まさにそれらを完全に網羅したマシンといえる。

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宮城 光 モータージャーナリスト

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みやぎ ひかる / Hikaru Miyagi

1962年生まれ。1982年鈴鹿サンデーオートバイレースに於いてデビュー3位。直後にモリワキレーシングと契約、1983年鈴鹿4耐で優勝、同年全日本F3クラスとGP250クラスに於いてチャンピオン獲得。1984年全日本F3クラス、F1クラスチャンピオン獲得。1988年HondaのHRCと国内最高峰GP500ccライダーとして契約。1993年より活動の場をアメリカに移し、全米選手権でチャンピオンになるなど、日本だけでなく海外でも活躍。1998年からは国内4輪レースでもその才能を発揮し、翌年の「4輪スーパー耐久シリーズ」ではチャンピオンを獲得する。また、世界耐久選手権シリーズ・鈴鹿8時間耐久ロードレースでは2003年より5年間ホンダドリームレーシングの監督を務めた経験ももつ。2016年には米国ボンネヴィルにおいて4輪車の世界最高速度記録を達成、世界記録保持者。開発車両ではTeam無限のマン島TT参戦車両・2輪電動マシン「神電」の初期からの開発ライダーを担当し2018年時点で5連勝中、2019年もチャレンジする。一方では、警視庁及び企業向け交通安全講話やライディング&ドライビング講師、専門学校講師などのほかに、 日本テレビのMotoGP解説者や雑誌などのメディアでレースやバイクの解説を務めるなど、多方面で活躍中。ホンダ・コレクションホールではホンダ歴代の2輪4輪グランプリマシンの維持管理テストレーサーを務める。無類のラジコン好き。

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