マスコミは、なぜ本田の批判をできないのか

セルジオ越後に聞く「日本サッカーの問題点」

ブラジル・ワールドカップのあと、日本サッカー協会の技術委員会は、惨敗の要因としてコンディションの問題を挙げました。でも、万全のコンディションで臨むというのは、ワールドカップを戦う上での大前提ですよ。

その大前提を整えられなかったのだから、当時の原技術委員長(現専務理事)は責任を取るべきなのに取らないし、マスコミもそれを本格的に追及しませんでした。これはもう、共犯としか言いようがないですよ。

現実を直視しないから、いつまでも真のスターが育たない

――選手に関する報道については、どう感じていらっしゃいますか?

同じことが言えると思います。本田圭佑についても、香川真司についても、日本のマスコミは、スーパースターのように報じてきました。

けれども、昨シーズンの出来、ブラジル・ワールドカップやアジアカップの結果、今シーズンのクラブにおける立ち位置や成績を見れば、世界のトップレベルとは大きな開きがあるのが明らかです。

セレッソ大阪からスイスのバーゼルに移籍した柿谷曜一朗にしても、「天才、天才」と騒ぐけど、彼が本当の天才なら、今頃、日本代表のレギュラーになっているはずだし、所属チームのバーゼルで試合に出られないなんてことはないはずです。いかに現実をねじ曲げて報道してきたかがわかります。

一方で、昨シーズンにドイツのブンデスリーガで15ゴールを奪い、今シーズンもすでに2ケタゴールに到達している岡崎真司についての報道は、あまり目にしません。彼こそが今、ヨーロッパでプレーする日本人選手の中で最もコンスタントに結果を残している選手だというのに、です。

現実をねじ曲げて、お金儲けを優先してきた「ツケ」が回ってきた――。いつまでも変われないマスコミの責任は重い(撮影:今井康一)

――偏向報道や、いわゆる“スターシステム”報道が目立つということですね。

マスコミが“スターシステム”報道を続けているから、日本にはちやほやされた“造り物のスター”ばかりになって、真のスターが育たないと僕は思います。

そうそう、本田に関して思うのは、ブラジル・ワールドカップのあと、日本に帰国しなかったにもかかわらず、なぜ、メディアは批判しなかったのか、ということです。

壮行イベントまでやって盛大に送り出され、日本中から応援され、彼自身「優勝を狙う」と宣言し、しかも大会中に「批判はあとで受けるから、今は応援してほしい」といったコメントまで発していたのに、惨敗したら、チームと別行動をとって帰国しなかった。

これはサッカー選手以前の問題で、人として最低な行為だと僕は思います。こんなことをブラジルでやったら、「口先野郎」とか「逃げ足の早いやつ」といったニックネームをつけられ、マスコミだけでなく、国民からも徹底的に叩かれますよ。

次ページなぜマスコミは、本田の行動を批判できないのか
ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • ボクらは「貧困強制社会」を生きている
  • 若者のための経済学
  • 本当に強い大学
トレンドライブラリーAD
人気の動画
パチンコホール「ガイア」店舗撤退で大激変する勢力図
パチンコホール「ガイア」店舗撤退で大激変する勢力図
ネットで生卵がメチャメチャ売れる驚きの理由
ネットで生卵がメチャメチャ売れる驚きの理由
やる気を削がれる人と奮起する人の決定的な差
やる気を削がれる人と奮起する人の決定的な差
「名岐アパレル」で連鎖倒産、産地の厳しい現実
「名岐アパレル」で連鎖倒産、産地の厳しい現実
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
サプライズと配当成長株で勝つ<br>株の道場 成長先取り編

菅首相の退陣決定を受け、東証株価指数が31年ぶりの高値へ急騰。日経平均株価も3万円を超えました。本特集では9月17日発売の『会社四季報』秋号を先取りし、上方修正期待の大きいサプライズ銘柄を抽出。株価上昇を享受する方法を会得しましょう。

東洋経済education×ICT