2022年音楽チャート「残響散歌」が制覇した理由 紅白にも出場、アニメとヒットの強い方程式

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Aimerの「残響散歌」
Aimerは自身初の年間トップを獲得。アニメソングにとどまらない活動を見せている(記者撮影)

人気アニメの大型タイアップで爆発的な人気を得た楽曲が、年間トップを獲得した。

ビルボードジャパン(運営:阪神コンテンツリンク)が発表する年間ヒットチャート「Billboard Japan Hot 100」(期間2021年11月29日~2022年11月27日)は、女性シンガー・Aimer(エメ)の「残響散歌」が制した。同曲は上半期に総合首位を獲得、下半期もストリーミングなどで人気を維持し続けたロングヒットだ。

ビルボードは複数の指標を基に算出される。CD販売、ダウンロード数、ストリーミング再生回数、ラジオのオンエア回数、ルックアップ数(パソコンによるCD音源の取り込み)、ツイッターのツイート数(アーティスト名と曲名)、YouTubeとGYAO!におけるミュージックビデオの動画再生回数、カラオケ歌唱回数が含まれている。

CD購入やダウンロードといった「所有」だけでなく、どれだけ多くの人が楽曲を聴き、視聴し、話題にして、歌ったのかという「接触」や「利用」を組み合わせる点が特徴だ。

継続的なテレビ露出でポイントを積み上げた

残響散歌は2021年12月、人気アニメ『鬼滅の刃』遊郭編のオープニングテーマとして先行配信し、話題をさらった。指標別ではダウンロード(年間1位)とストリーミング(5位)、ミュージックビデオ(1位)が牽引する形だった。情報番組やワイドショーなど、地上波で継続的に露出した点も後押しになっている。

2022年1月には遅れてCDをリリース。2月には一発撮りのYouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」でパフォーマンスを披露した。「ミュージックステーション」、「CDTV ライブ!ライブ!」など音楽番組にも出演して認知を広げ、再び急速に各ポイントを積み上げた。

結果、1月から2月にかけて7週連続で総合1位をキープ。これはビルボードにおいては「恋」(星野源)と並ぶ歴代1位の記録だ。下半期もストリーミングを中心に聴かれ続け、粘り強く上位にとどまった。

特徴はダウンロードが先行したことだ。ダウンロードでの購入は熱心なファンの行動と位置付けられる。ライトなファンはストリーミングやミュージックビデオで視聴する傾向があるが、こちらも強い結果だった。

つまり、残響散歌はアニメやAimerの熱心なファンの支持を得つつ、ライトな新規ファンも取り込み、年間を通じて聴かれ続けたと分析できる。

2位はTani Yuukiの「W/X/Y」。1998年生まれの若手シンガーソングライターだ。同曲のリリースは2021年5月。リリース当時は話題にならず、ランクインもしなかったという。

しかし、TikTokなどのSNSで火がついた。2022年1月から週間チャートにもチャートインしはじめ、ストリーミングを軸にポイントを積み重ねた。結果、ストリーミングは年間1位、ミュージックビデオは8位。さらにダウンロードも13位と健闘し、強固なファンも獲得している。

Tani Yuukiは2020年にTikTokやYouTubeへ投稿した「Myra(マイラ)」が若年層の支持を集めてヒットした実績がある。今回はMyraに続くTikTokでの大ヒット。しかも、リリースから半年後に注目されるなど、かなり珍しいケースだった。

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