台湾政治の次世代リーダーが語る「中国と日本」 民進党副秘書長・元学生運動リーダーの林飛帆氏インタビュー

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2014年、台湾全土を揺るがした「ひまわり学生運動」のリーダーだった林飛帆氏。現在は台湾の与党・民主進歩党で副秘書長を務める(写真・福田恵介)
米中関係の対立による台湾有事の可能性が声高に叫ばれている中、日本と台湾の関係が深まっている。2022年末には自民党の政治家らが訪台し、台湾の蔡英文総統など各界の要人との対話も広がっている。
一方で、蔡総統と与党・民主進歩党(民進党)は2022年11月に行われた統一地方選挙で大敗北を喫した。22ある県・市の首長選のうち、民進党が獲得したポストは5つのみ。一方、最大野党の中国国民党(国民党)は台北市長など13のポストを獲得した。結果を受けて蔡総統は、「地方における民進党の政権運営と人民の期待に少なからぬ距離があることを示しており、地方のニーズを深く掘り起こすことや人材の育成も不十分だった」と述べている。
2014年の「ひまわり学生運動」のリーダーで、2019年から民進党の副秘書長(副幹事長に相当)を務める林飛帆氏(34)は東洋経済のインタビューで、所属する政党の敗北を「予想はしていた」と述べたうえで、現在の民進党の状況や日本との関係などについて語った。

 

ーー地方選での民進党の敗北は、台湾との関係を深めようとする日本にとっても少なからぬ衝撃を与えました。敗北という結果は想定していたものだったのでしょうか。

状況を総合的に見て、私はずいぶん前から「結果はおもわしくないだろう」と警鐘を鳴らしていました。選挙戦でさまざまな調整ができず、最終的に敗北という結果を招いてしまいました。

ーー地方選の結果を受けて、民進党内ではどのような反省を行って、また改善をしていくのでしょうか。

2022年11月末の投票日から1カ月間、社会の各界の人たちとさまざまな対話を行いました。これに関連する座談会も5回行っています。選挙でのサポーターの幹部や地方の党組織、各業界・業種、とくに観光・宿泊業界の方たちも招いて対話を繰り返しました。

さらに若い世代とも対話を行い、若い議員とも深く交流をしたので、これから意見の収斂作業を行います。これには党内の世論調査センターが世論調査やさらなるインタビューなどを含め、科学的な手法を用いて調査し結果を党内の政策に反映させる予定です。

兵役義務期間回復の影響は

ーー2022年12月27日、台湾の男子に対する兵役義務の期間をこれまでの4カ月から1年に回復する計画を発表しました。中国との緊張関係から2年以上だった兵役義務が、馬英九政権が中国との緊張緩和で4カ月に短縮されていたものです。

確かに1年という元の制度に近い期間を回復させました。この内容は、1つ目は4カ月から1年に回復させたこと、2つ目は蔡総統が構築しようとしている国民防衛体制の1つであること。防衛体制を構築するのは、単に義務役の改革だけではなく、社会の改革も含まれます。

志願兵を軍の主力とし、義務役をサポートのための部隊として構成します。民間の防衛組織は地方自治体の守備や後方支援を行います。3つ目は、後方支援システムの改革を行うということです。こうして社会全体を動かして、戦争を起こさせないようにするためのものです。

ーー1年とはいえ、兵役期間回復は若者から反発がありませんか。

若者への影響はありますし、反発は絶対にあります。ポイントは、こういった若い世代が前述したような改革に納得できるかどうか、です。

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