「サッカーはネット観戦が当たり前」の前途多難 ABEMA視聴の2343万人も「お金は払わない」

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「通信と放送の融合」といわれるが、その実態は「通信による放送の侵食」である。

通信と放送は「伝送路」という点で絶対的な違いを有している。インターネット回線を用いて接続する通信と、放送波を用いて情報を流す放送である。

前者は双方向のコミュニケーションが可能である。分散的に管理され、ベストエフォートのインフラであり、コンテンツ提供者への規制は強くなく、「YouTube」のようなプラットフォームを通じてだれもがコンテンツを作って流すことができる。

後者は発信側から受信側への一方向のコミュニケーションである。放送局によって集中的に管理され、公共性が強く、コンテンツ提供者には業界ルールによる管理が強く求められており、プロが作成したコンテンツが限られたチャンネルから送り出される。

このように、通信と放送は、コンテンツの作り手、伝送路、受像機とそれぞれが別モノの構造にあり、管理する法律やそれをビジネスとして提供する事業者は分かれていたが徐々に垣根がなくなってきた。それが通信と放送の融合である。

しかし、ユーザーにとっては、テレビでもスマートフォンでも、通信・放送でもどちらでもかまわない。ユーザーの「観たいものを観たい」という欲求と、一方のコンテンツ提供者側の利用料や広告料を得るために「観せたいものを観せる」という欲求に対応して、市場環境は変化してきた。

ネット広告は成長、有料配信・放送は横ばい

この四半世紀の間に、テレビ(受像機)をスクリーンとして活用するのは同じながらも、コンテンツの伝送路が放送から通信へとシフトする動きはじわじわと広がってきた。今後その動きはさらに加速し、通信によるコンテンツ配信サービスは拡大を続ける。ユーザーも広告も、伝送路は意識せず、魅力的なコンテンツに集まる。

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