「サッカーはネット観戦が当たり前」の前途多難 ABEMA視聴の2343万人も「お金は払わない」

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無料・有料別のメディアと広告市場の変化を見てみよう。広告モデルで運用され視聴者がコンテンツを無料で視聴できる民放テレビ放送(「テレビ広告」)と「インターネット広告」の市場は、2021年度の4兆1595億円から、2028年度には4兆6777億円に拡大する。

一方、視聴者自らがお金を支払って視聴する「有料放送」(有線、衛星、IP)、「公共放送(NHK)」、「有料配信」を合計した市場は、1兆9987億円から2兆486億円とほぼ横ばいである。

一般に広告の市場規模はGDP(国内総生産)に比例し、そのGDPは人口に比例する。日本は2008年から人口減少時代に突入しており、コンテンツの消費者が純増する時代ではない。GDPも長らく横ばいが続いている。それでも配信と放送を合わせた無料広告モデルの市場は、社会のデジタル化に伴い、「デジタル接点=コンテンツへの接点=インターネット広告への接点」が拡大することで市場は広がる。

一方、有料の配信・放送市場はほぼ横ばいである。若年層を中心にメディア接触の総量は大きく増加しているものの、お金を支払ってまでコンテンツを消費させるという行動を促すことには難しさがある。

500万ユーザーという「見えない壁」

成長率の高い有料動画配信サービスには「Netflix」「Hulu」「U-NEXT」「Disney+」、また純粋な動画配信サービスのみのビジネスモデルではないが「アマゾンプライム・ビデオ」がある。

これらは巨額の投資を背景にコンテンツを収集・制作し、グローバル規模でユーザー獲得を進めてきた。しかし、ユーザーから投資を回収すること、すなわち支払い額を高めることには苦心している様子が垣間見られ、価格設定の変更やキャリアサービス等との抱き合わせ販売、広告モデルの採用など試行錯誤が続く。急成長を見せた有料動画配信サービスだが、国内市場でもそろそろ踊り場が見えてきたようである。

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