なぜ今?ANAがゴルフ場予約サイトを始めた理由 世帯年収1000万超「マイレージクラブ」の新展開

拡大
縮小

前田氏は入社してからゴルフを始めたサラリーマンゴルファーで、既存のゴルフ場予約サイトを使ってゴルフコースを予約していたことが、サイト立ち上げに役立った。

「担当になったのも、その点があったのかもしれません。ゴルファーにとって使いやすいサイトにすることを心掛けています」(前田氏)

ANAマイレージクラブにはいろいろなタッチポイントがあるが、マイルを使いにくいと感じることがある。それは使いみちのわかりにくさと、使い先が限定されている点である。飛行機のチケットに使えば償還率が一番高いが、現実問題として、自分の望むフライトをマイルでは予約しにくい。

「使い勝手を改善することが我々の使命と考えています。航空券に変えることだけがお客様の希望でなく、いろいろなものに替えられることがサービスにつながり、今回のゴルフ場予約サイトも1つのタッチポイントとなると思っています」と前田氏は話す。マイルの使いみちの多様性のなかに、ゴルフが入っている。

前田氏。自らもゴルフ場予約サイトを使ってゴルフをするという(写真:筆者撮影)

今後は「マイルを使ってゴルフ」

今後のマイルの使いみちの提案として、「マイルでゴルフ代が払えればいいね」との声も社内から上がっていて、2023年中にマイルでゴルフのプレー代が支払えるようになることを目指している。たまったマイルでゴルフ場の支払いができるようになれば、ゴルフ場の行きやすさにつながるのではないだろうか。

「将来は、海外のゴルフ場も予約できるようにしていきたい。ゴルフをより身近な存在にする。サステナブルなアクティビティとして、愛され続けるものとする。ワクワクする要素を欠かさない」(前田氏)

わが国のゴルフ人口は600万~650万人と推定される。それに対し、ANAのマイレージ会員は3800万人にのぼる。少しでもゴルフへのタッチポイントが増えることは、ゴルフ未経験者がゴルファーになる機会を増やすことになる。今後の展開に期待したい。

嶋崎 平人 ゴルフライター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

しまさき ひらと / Hirato Shimasaki

1976年ブリヂストン入社。1993年からブリヂストンスポーツでクラブ・ボールの企画開発、広報・宣伝・プロ・トーナメント運営等を担当、退職後、ライターのほか多方面からゴルフ活性化活動を継続。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT