日給3万5000円「レンタルCTO」を始めた男のその後 企業のスタートアップに関わり学んだこと

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私は、起業する前にフリーランスとして「レンタルCTO」というサービスを行なっていました。これは、日給3万3000円で「残業代なしで自由に使ってください」というサービスです。こうして、いくつかのスタートアップ企業の立ち上げを支援してきました。

さまざまなスタートアップが資金調達して、投資しながら事業を拡大するのを間近に見てきました。レンタルCTOを始めた頃は「スタートアップはどうやって事業を行っているのかな?」という好奇心からお手伝いしていましたが、その面白さにスタートアップそのものに夢中になってしまいました。

とあるスタートアップの立ち上げに加わった普通のエンジニアの方が、1〜2年後には、知り合いのスタートアップでCTOをしていたりします。人の流れも速く、刺激的な環境でした。

この時期に私がお手伝いした印象的なスタートアップの1つにRettyがあります。

Rettyは実名ユーザーがレビューをするお店探しのグルメサービスで、2020年に東証マザーズに上場しています。この会社は私の元同僚が立ち上げをするということで、少しお手伝いをしました。

Rettyは2人で起業したのですが、2人とも営業出身でエンジニアはいませんでした。だから、元営業の1人がプログラミングを勉強してプロダクトを作っていました。

このRettyも起業当初から「食べログを超える」と言っていました。理想を掲げて、がむしゃらに働いていたのです。今はユーザー数も増えて、実際に自分たちの理想を実現しつつあります。優秀なスタートアップ企業の共通点は、自分たちの理想を達成したいという想いが強いことだと思います。

スタートアップを選ぶときの基準

最近、働く人の意識が変わったと感じています。「お金のためだけでなく、自分が何のために働くのか」を大事にする人が増えているのです。とくに若い方は、仕事を通じて「社会をよくしたい、社会貢献をしたい」と考えているのです。スタートアップの事業領域にも顕著に表れています。

例えば、脱炭素エネルギーに関連した事業など、現在の社会問題には、必ずどこかのスタートアップが入ってきている状況です。食糧問題、貧困問題、教育問題と課題はたくさんありますが、自分が解決したい課題から、会社や事業領域を選ぶ人が多くなっているのです。

社会貢献の話をするときに、SGDsがよく話題になります。きれいごとに聞こえてしまう面もありますが、スタートアップのミッションの土台となるものも含んでいると思います。

私の会社だとSDGsのうち「質の高い教育をみんなに」という目標を実現すると掲げています。これは「こんな世界を実現するために活動している」と、社員にも、社会にもアピールする力になるのです。

会社としては、自分たちの理想のための社会貢献を目指していて、その目的を達成するための仲間を集めます。そして、社員は会社の目的を自分の理想に重ねて、自己実現をしていく。そういう意味で、「天才でなくても世界を変えられる」と思います。1人で世界を変えるのは難しいですが、自分と同じ世界を夢見ている会社を探して、そのチームに加わることで、一緒に世の中を変えていけるのです。

もし、働き先としてスタートアップを選ぶなら、ミッションやビジョンに共感できるかが重要です。

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