「製造業」が日本経済の起爆剤になるこれだけの訳 モノづくりが得意な国だからこそできること

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モノづくり大国日本の経済支え続けてきた製造業が、新しい形にトランスフォームするための6つのパラダイムシフトとは(写真:EKAKI/PIXTA)
「日本は約30年、経済成長が停滞しています。1人当たりのGDPは現在、OECD(経済協力開発機構)加盟国の中で23位、G7の中では最下位に位置付けられています。下がり続ける順位だけを見ると、日本は時間と共に世界から取り残されていくことが予想されます」。こう話すのは、デジタル時代の日本企業の事業革新に従事している、ISIDビジネスコンサルティングの寺嶋高光さんです。
デジタル技術が牽引する第4次産業革命の真っ只中、モノづくり大国日本の経済を支え続けてきた製造業が直面している課題は何か? そして、従来の概念とは異なる新しい形の製造業にトランスフォームするための6つのパラダイムシフトとは? 
寺嶋さんの著書『シン・製造業 製造業が迎える6つのパラダイムシフト』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集してお届けします(※「シン・製造業」とは「モノ」をつくりつつ、その「モノ」を軸とした新しい価値やユーザー体験を提供し、社会課題を解決するビジネスを生み出す製造業を意味します)。

第3次産業革命は、主に20世紀後半までのインターネットを中心としたICT(コンピューターを利用した情報連携技術)革命でした。日本はこの流れに後れを取りました。そして、現在、第4次産業革命の真っ只中、ここでも遅れをとっているといわれています。

第4次産業革命におけるコアとなるデジタル技術を活用して行う企業変革、DX(Digital Transformation)は、大企業を中心に取り組みが行われていますが、日本における成功例はまだ多くなく、日本は世界の先進国に比べて、歩みが遅いのが現状です。

モノづくりが得意な日本だからこそ

DXは、数年前から国内でも飛び交うバズワードともいえますが、言葉だけに執着をしてしまうと、手段としてデジタル技術を活用することや、オペレーションの自動化、効率化だけが目的視されてしまうケースがあり、企業自体のトランスフォームを成功させることができません。

日本の製造業の労働生産性は20年前に比べて落ちてはいませんが、デジタル技術を活用し、既存ビジネスの効率化を行うだけでは、欧米、中国、韓国などの勢いある成長企業に対抗できる競争力を持つことはできない状況に、今日本は立っています。

では、デジタル技術の革新が進む世界で、生き残るにはどうすればいいのでしょう?

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