「製造業」が日本経済の起爆剤になるこれだけの訳 モノづくりが得意な国だからこそできること

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ほかにも、追い風となるパラダイムシフトはすでに起き始めています。キーワードを以下に挙げます。

(1)データの透明性が重要視される時代
(2)SXとGX
(3)Web3.0の世界
(4)デジタルツインの世界
(5)デジタル技術のリスキリング
(6)暗黙知の形式知化と共育

(1)は今お話しした内容です。ほかの5つについて簡潔に説明します。

・グローバル産業界におけるSDGsやESG投資の重要性の高まりから、社会や人のためになることを重要視する企業経営者が増加していること
(2)

・GAFAをはじめとする一部の巨大IT企業がインターネットやSNSを中央集権的に管理している現在は、Web2.0の世界です。それが、中央集権的なサーバーにアカウントを作成しなくてすみ、個人情報を他人にゆだねる運用が不要になるWeb3.0の世界へ移り変わり始めていること(3)

・デジタル空間上にリアル空間を再現する技術(デジタルツイン技術)の進化により、さまざまな予測やトラブルの未然防止が行えるようになること(4)

・個人としての学び直しが国の政策的にも、企業内部の取組みとしても推進され始めていること(5)

・ベテラン技術者の技術を形式知化してデジタル空間に格納したり、AIに学習させたりする取り組みが企業で盛んに行われ始めていること。さらに、誰かが誰かに何かを教えるという一方通行の関係性ではなく、お互いが持つ新しい専門知識、スキルを持ち寄り、そこから新たな価値を創出し続ける「共育」という、お互いを高め合う流れがきていること(6)

新しい製造業の変革に追い風

『シン・製造業 製造業が迎える6つのパラダイムシフト』(クロスメディア・パブリッシング)書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

このような潮流が、シン・製造業に変革するための追い風になると考えます。

日本は少子高齢化で人口が減少し、あらゆる市場が縮小する未来が待ち受けています。ただデジタル技術を活用するだけのDXや、機能的な価値に主眼を置いた安価で便利な製品を大量に生産し、数を売ってもうけるビジネスを今後も続けていくことで、この先、5年、10年と会社を存続させることができるでしょうか? 社員の幸せは守られるでしょうか? 製造業の経営者の方に考えていただきたい課題です。

既存事業で利益を得るにとどまるだけでなく、新しい価値の創出へ。日本の製造業が元気を取り戻すために動くべきときが来ています。

寺嶋 高光 株式会社ISIDビジネスコンサルティング代表取締役社長

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

てらしま たかみつ / Takamitsu Terashima

国内大手SIer、外資コンサルティングファームを経て、2002年に電通国際情報サービスに転職。2013年にISIDビジネスコンサルティング創業メンバーとなり、その後同社経営戦略コンサルティング本部長、取締役を歴任し、2021年に代表取締役社長に就任。自動車メーカーを中心に、製造業へのコンサルティング業務を行う。とくにIoTやデジタルテクノロジーを用いた、製造業の事業戦略及びコーポレート戦略立案、バリューチェーン革新等によって業績を改善させた数々の実績を持つ。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事