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日本で働くフィリピン人女性「幸せを感じる瞬間」 高級レストランやブランド服より大切なもの

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  • 金井 真紀 文筆家 イラストレーター
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長く水商売を続けてきたロウェナさんだったが、「そろそろ昼間の仕事にしようかな」と考えたのが8、9年前のこと。友人のつてでラブホテル清掃の仕事を見つけた。7年前から現在の職場にいる。フィリピン人と中国人と日本人が働いている、わりと大きなホテルだ。「ホテルの仕事はたいへんだけど、そんなこと言ったらどんな仕事も大変だもんね。いまの職場は仲のいい人がいるから最高」。

(イラスト:金井 真紀)

「いまはもう怖いものなし!」

だからこそ労使の問題が出てきたとき、ロウェナさんはみんなに推されてリーダーになったのだ。組合メンバーには、かつてダンサーだった60代から幼な子を抱える20代まで、さまざまな世代のフィリピン人がいる。

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自分自身もだけど、仲間たちが賃金未払いにあったり、不当に解雇されるなんて絶対に許せない。「私たちみんな、一生懸命働いてきた。いい加減な仕事はしてない。それがあるから堂々と主張できる。まっすぐにする、正しくするのが大事と思います」。

あくどい経営側と団体交渉をするのがロウェナさんの役目だ。矢面に立つことは怖くないのだろうか。わたしがそんな心配をすると、「いまはもう怖いものなし!」。笑顔で言い切った。

長いあいだ、ロウェナさんが怖かったのは「親の死」だったそう。サラッと言うから、胸をつかれた。いまはもう両親とも亡くなったのでなにも怖くない、団体交渉なんてぜーんぜん平気、らしい。

「どんな人ともいつかは別れることになるでしょう。だから出会えた人のために一生懸命やりたいの。ずっと続くわけじゃないから、いまを大事にする。人を大事にする。ほら、日本のすごくいい言い方、あるでしょ。なんだっけ? ええと……一期一会! それよ! 大好きなことば」

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