日本で働くフィリピン人女性「幸せを感じる瞬間」 高級レストランやブランド服より大切なもの
50人のフィリピン人労働者のトップに
春まだ浅く、朝の空気は冷え冷え。線路脇の道、その一角にフィリピン人が集まってくる。男女あわせて7、8人。
「おはよー」「晴れてよかったね」「眠いー」
日本語とタガログ語がにぎやかに飛び交う。誰かが冗談を言うと、別の人がそれを受けて、わっと笑い声が上がる。楽しそう。まるで遠足にでも行くみたい。
やがて時間が来ると、フィリピン人たちは労働組合の幟(のぼり)を掲げ、お揃いの腕章をつけて、線路の反対側に広がるラブホテル街へと足を踏み入れた。彼らはこの地で長くホテル清掃の仕事をしてきた。しかし新型コロナウイルス感染拡大を言い訳に、経営者が従業員に対して不当な扱いをするようになった。
「私たちがガイジンだからバカにしてる」。うんざりした顔でひとりが言うと、みんなもうんうん、とうなずく。彼らは専門家に相談した上で労働組合をつくり、経営側と闘うことにしたのだった。労組には50人以上のフィリピン人が加わった。そのリーダーを務めるのが長谷川ロウェナさん。小柄で丸顔、柔らかい雰囲気で「闘う組合分会長」の雰囲気とはほど遠い。だけど話を聞くと彼女のすごさがよくわかった。
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