東洋ゴム、「免震データ偽装」さらに拡大か 新たに195棟へと対象を拡大し調査開始
今のところ東洋ゴムは、55棟の施主に対して謝罪や説明に回っているが、一部施主への説明は済んでいない状況だという。すでに交換を要求している自治体もある。県庁第一別館に不適合な製品が納入されている、愛媛県の中村時広知事は、19日の定例会見で、製品20基の交換と工事費、食堂休業費など、交換に伴う諸費用を求める方針を表明。23日に要望書を同社の岡崎俊明・執行役員らに手渡した。
もっとも、東洋ゴムとしては、全ての製品の交換に応じる方針を示しているが、実際の対応は容易ではない。同社製の免震ゴム製品は、大臣認定を取り消されているため、新たに取得し直さなければ、製品を出荷することができないからである。同社は「新たに専門チームを編成し、ゴムの材料開発に取り組んでいる。大臣認定の基準値に適合する製品の開発が視野に入ってきている」とするが、早期の交換を実現するためには他社の協力を仰がざるを得ない状況だ。
免震ゴムには複数の種類があるが、高減衰ゴムの生産は、ブリヂストン8割、東洋ゴム2割と、両社でほぼシェアを分け合っている。東洋ゴムの筆頭株主(出資比率7.8%)でもある、ブリヂストンによると、25日朝になって、東洋ゴムから連絡が入ったという。ブリヂストンとしては、求めがあれば代替製品の生産に応じる方針だが、サイズやボルトの取り付け位置など細かい仕様が会社間で異なり、在庫製品では対応できない。「免震ゴム自体が受注品のために、代替製品の仕様が決まり次第、イチから生産を始めることになる」(ブリヂストン)。
対策費用は数十億円が確実
交換に要する費用は、免震ゴム本体が1基数百万円するのに加え、輸送料や工賃もかかるため、現在、不適合が判明している55棟・2052基だけでも、相当の費用がかかる。2007年に同じ東洋ゴムが起こした断熱パネル偽装の際には、対策費用として約40億円が計上されているが、少なくともそれを上回る金額になることはほぼ確実だ。
管轄する国交省は、東洋ゴム以外の免震ゴムの大臣認定を取得している26社に対しても、4月20日までに、書面による自己申告形式での調査報告を求めている。今のところ不正の報告はないとのことだが、建築指導課建築物防災対策室によると、「断熱パネル偽装の際も同じやり方をしたが、あの時は他にもボロボロと問題が出てきた」と振り返る。東洋ゴムも含めて、これ以上問題が拡がらないという保証はない。
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