タカタは、なぜ「悪人呼ばわり」されるのか 米当局とのミゾは深まるばかり
タカタと米当局の関係は、もはや修復不能なほどにこじれてしまったようだ。
米運輸省・道路交通安全局(NHTSA)は2月20日、エアバッグ問題でリコールが拡大しているタカタに対して、1日1万4000ドルの罰金を課すと発表した。「調査に対するタカタの非協力的な態度は受け入れられない」「タカタのような悪人に安全文化を変えるには法改正が必要」など、NHTSAの声明文には辛辣な言葉が並ぶ。
これに対してタカタは、同日に出した声明文で「非常に驚き、失望している」とした上で、「これまで250万ページにも及ぶ書類を提出し、NHTSAとコミュニケーションをとってきた」と真っ向から反論。これまでの対応を批判されたことに、露骨に不満を示した格好だ。
両者のミゾが鮮明化
タカタ製エアバッグが異常な破裂をする問題で、自動車メーカーは複数回のリコールを行ってきた。当初は同社製エアバッグを多く搭載するホンダ車のみだったが、2013年以降はそれが約10社の自動車メーカーに広がり、累計1000万台以上のリコールとなっている。関係性が疑われるものも含めると、これまでに6件の死亡事故も発生している。
米国でリコール行政を司るNHTSAは昨年11月、原因がわからない新たな欠陥品に対して、米国の一部地域で行っていた調査リコール(正式なリコールとは別の調査を目的とした無償回収・交換)を、全米規模へ拡大するようタカタに要求した。だが、タカタは、「データに基づけば、(調査リコールを実施している)多湿地域での部品交換を優先することが最善だと考える」と説明。当局の要請に応じなかったことで、両者のミゾが鮮明になった。
結局、ホンダをはじめとする自動車メーカーが調査リコールの全米拡大に応じ、日本などいくつかの国でも自主的なリコールを開始した。1000万台規模の調査リコールに対し、タカタは調査と交換部品の生産に全面協力するとしてきた。ただ、米当局が罰金を科したということは、それでは対応が不十分だと言いたいのだろう。
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