タカタは、なぜ「悪人呼ばわり」されるのか 米当局とのミゾは深まるばかり

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もっとも、タカタが当局から科される1日1万4000ドルという金額自体は問題ではない。1年間それが続いても約6億円程度。すでに2014年度第3四半期までに506億円のリコール関連の特損を計上しており、数億円の追加は”誤差の範囲”だ。

しかし、米当局との関係悪化はタカタの今後に深刻な影を落としかねない。トヨタ自動車は2009年に発生した「意図せぬ急加速問題」に関して、米当局や集団訴訟などに合計24億ドルもの制裁金・和解金を支払った。当局との関係が悪化し、「タカタ=悪人」というイメージが定着するようだと、訴訟や罰金のリスクも高まるおそれがある。

リコール特損で財務が毀損

リコール費用についてもまだ膨らむ可能性はある。昨年12月以降に各自動車メーカーが表明した全米での調査リコールや全米や世界各地への拡大分について、タカタは決算で費用計上していない。原因が究明されておらず、現状は自動車メーカーが負担している。ただ、タカタの瑕疵が明らかになれば、当然、メーカーから請求されることになる。 

数年前までは好財務を誇ったタカタも、一時は2000億円近くあった株主資本が、度重なるリコール特損によって直近では1487億円まで減っている。現在の自己資本比率は3割台だが、リコール費用の拡大や訴訟関連費用のリスクを勘案すれば、財務の健全性をどこまで保てるか不透明だ。

もっとも今のところ、ビジネスにリコール問題の影響は現れていない。2014年度第3四半期の売上高は15.6%増、為替影響を除いても9.5%増と全世界の自動車販売台数の伸び率を上回っている。この背景には、自動車の安全規制が強化される中でタカタのシェア、1台当たりの単価などが上昇していることがある。

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