冷静に見て、ウクライナ戦争は来年どうなるのか 開戦から1年、世界大戦の可能性はゼロではない

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このまま戦争を継続すべきなのか。ウクライナのゼレンスキー大統領が2022年末にワシントンに行ったが、これはアメリカ軍への援助要請だけの問題ではないと思われる。すでに彼は、ウクライナ内部で政治権力を失いつつあるとも言われているからだ。とりわけ苦戦する軍とゼレンスキーとの関係はよくない。

戦争は兵器で勝つのではない。それを使える兵員がいないと武器は有効ではない。武器をNATO(北大西洋条約機構)から手に入れ、「ロシア対ウクライナ」の戦争を「ロシア対NATO」にしたいというゼレンスキーの思惑はわかるが、そうすればヨーロッパ、とりわけ東ヨーロッパは戦場となる可能性が高い。東欧にとっては、それは避けたい。これは、この戦争をどう位置づけるかという問題にかかっているといえる。

戦争の原因を振り返る

少なくともこの戦争は、ソ連崩壊後独立した旧ソ連地域が、ロシアから完全に離れられるかどうかという問題に発端にあった。ソ連という国の中に組み込まれていた共和国は、経済、軍事、エネルギー、言語、教育、文化、さまざまな領域において、ロシアと密接な関係にあった。独立したからといって、そこから簡単に出ることはできない。

とりわけウクライナ東部の工場地帯は、ロシアの工業地帯と1つのコンビナートをなしていた。原料、エネルギー、生産、販売市場など密接に1つの地域をなしていたのだ。

この地域が2つの国に独立するからといって、ウクライナ側の工業地帯がロシアから独立できるわけではない。かつて旧東ドイツはソ連・東欧の工業基地であったが、ベルリンの壁崩壊以後、東欧社会と縁が切れたことで一気に衰退した。

東ドイツは当初、西ドイツとは別の国として独立するつもりであったが、それがこれにより不可能となり東西ドイツ統一になったことは、あまり知られていないが、事実である。

ウクライナの工場地帯を西側地域に引き寄せるには困難が多い。その一つがエネルギーである。原子力や天然ガスはロシア頼みである。工業製品もロシアと一体化していて、西側でそれが簡単に売れるわけではない。これはすべての東欧地域が抱える現実的問題である。

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