ボーによるとこうだ。少数言語に対する配慮のない旧ソ連邦の独立国の問題は、中国のウイグル問題と似ているという。とりわけウクライナ語がエリートと見なされる民族の言語として、下位言語と見なされるロシア語より優越しているという民族主義者の動きが、ウクライナ語のみの公的言語化を促進したという。
これらの集団はネオナチともいわれているが、彼らの攻撃のターゲットはロシア人だけではない。ウクライナ人よりも劣ると目されているユダヤ人も含めたさまざまな少数民族も攻撃に対象になっているのだ。
アゾフ軍団で有名になったアンドリー・ブリツキーは、「当面の、わが民族の歴史的使命は、生き残りをかけた最終的十字軍に白色人種を送り込むことだ」(前掲書54ページ)と述べたとも言われている。
ウクライナ語の公的言語化が火種に
2014年2月23日、ロシア語とウクライナ語を公的言語としていた法律が廃棄されたことが、決定的だったという。それがドンバスやクリミア地域での住民の抵抗運動を導いた。
この運動の支援に、さまざまな支援団体が参加したのだが、そこにセルビアの「ヨバン・セヴィッチ」グループなどのさまざまな右派グループがいる。そんなグループの存在が、「ネオナチはドンバス側である」という西側の批判につながっているともいう。
実際、東欧の国のいくつかの左右の集団が、ウクライナの少数民族弾圧に抵抗するために参加したことは確かである。ハンガリーの「聖ステファン」、ポーランド右派の「ファランジュ」、スペインの左派「カルロス・パロミーノ」、イスラエルの「アリヤ」などである。とりわけ抵抗運動は、南部地域に集中していた。
南部といえば、ロシア人だけでなく、ユダヤ人、トルコ系、チェチェン系などもいる地方である。この戦争に参加している非ロシア系義勇軍が、ロシア側にも多いのはこうした事情による。
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