受信料見直しで揺れるBBCはNHKの見本になるか 日本人が無視できない公共放送の行方
今年夏以降、スキャンダルや財政政策の失敗で3人目の首相を迎えたイギリス。トップすげ替え劇の影で年明けに持ち越しが確実になったのが、公共放送BBC(英国放送協会)の料金徴収のあり方だ。日本のNHKの放送受信料に相当する、BBCの「テレビ・ライセンス料」(以下、「受信料」)制度が今後も続くべきなのかどうか。
イギリスの放送・通信業を管轄するデジタル・文化・メディア・スポーツ(DCMS)省のナディーン・ドリス大臣は今年1月、ツイッターで受信料制度の廃止を暗示した。ドリス大臣は反BBCの強硬派で知られる。もし廃止となれば、BBCの将来が危うくなる。新聞各紙は大きな見出しでこれを報じた。
追って4月、政府は放送業の未来を描く「白書」で制度見直しを明記。これを踏まえて夏には政府とBBCが話し合いを始めるはずだったが、7月上旬、ボリス・ジョンソン首相(当時)がコロナ禍でのパーティー疑惑で与党党首を辞任し、9月に引き継いだリザ・トラス首相も大型減税案が金利の急騰と通貨下落を招き、超高速で辞任した。
「受信料制度は不公平な税金だ」
10月末に成立したリシ・スナク政権で文化相を担うのは、トラス首相時代に任命されたミシェル・ドネラン氏だ。かつて「受信料制度は不公平な税金だ。いっさい廃止するべき」と発言した人物である。
年の瀬も押し迫る12月6日、下院のDCMS委員会に召喚されたドネラン文化相は過去の発言からは一定の距離を置いたものの、「受信料制度が長期的に持続可能なモデルでないことは否定できない」と述べた。
代替の制度決定には調査委員会を立ち上げ、メディア市場が今後どうなっていくのか、ほかの収入源としてどんなものがあるかなど、「根拠となるべき情報に基づいて」決定したい、と語った。調査委員会はこの時点では設置されておらず、12月末日現在、設置の発表はない。
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