CO2増で温暖化進むと思う人が科学的にマズい訳 政界・経済界のみの都合で決めるのはとても危険

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もう1つ、温暖化を示す根拠となるデータがあります。世界平均の海水面の変化です。それによると、1901~2010年のあいだに、海水面は19㎝上昇しています。水は温度が上がると膨張し、体積が増えるという性質を持っています。

そのため、地球温暖化によって海水の温度が上がることで海水の体積が増え、水位も上がったと考えられます。また、北極や南極付近にある大量の氷も、温暖化により海水温が上昇すれば融けるので、そのぶん海水の体積が増えて水位が上がります。

この状態のまま温暖化が進行すれば、2100年ごろの地球全体の平均気温が現在より約2.6~4.8℃上昇し、海水面の平均は約45~82 ㎝上昇すると予測されているのです。

さらに、温暖化問題で必ず話題になる二酸化炭素の濃度は、過去1000年間で280ppmから400ppmにまで上昇しています。これは急上昇といってもいい数値です。原因はすでにお気づきの通り、石油、石炭などの化石燃料を大量に使い続けたことです。これらを燃やせば、膨大な二酸化炭素が発生するからです。

地球上の温度が保たれる理由

先に、地球はバランスをとっていると述べましたが、地球の大気の温度は太陽から届くエネルギーによって決まります。地球は太陽から得るエネルギーのバランスもとっています。

つまり、太陽から入ってくるエネルギーと出て行くエネルギーがあって、それらを一定にすることで、地球の温度はほぼ一定に保たれているというわけです。太陽から地球に入ってくるエネルギーについてはイメージしやすいと思います。では、地球から出て行くエネルギーとは、具体的にどういうものを指しているのでしょうか。

太陽から地球に届いたエネルギーは、大気圏に入った後、その3割は雲などに反射されて宇宙に消えてしまいます。雨の日に飛行機に乗る場合、空港で空を見上げれば灰色の雲が見えます。しかし、飛行機に乗って雲上に出たとき、雲は眩まぶしいほどに輝いています。これは地球に届いた太陽のエネルギーを反射しているためです。つまり逃げるエネルギー3割はここで跳ね返されています。

さらに、太陽光エネルギーの2割は大気や地表に近い雲に吸収されてしまいます。結果として、太陽から地球に向かったエネルギーのうち、地上には5割ほどしか到達しません。

地上に達したエネルギーも、今度は海や陸地で反射されることにより、最終的にはほぼ同じ量のエネルギーが宇宙空間に戻っていってしまいます。宇宙衛星、スペースシャトルや、最近では国際宇宙ステーションからの映像で見る海や陸地や雲は、眩しいほどに輝いています。それはすなわち、そこで太陽光エネルギーが反射され、地上には到達していない、ということを表しています。

このように、基本的に太陽から入るエネルギーと出るエネルギーが等しいため、地球上の温度は一定に保たれています。

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