CO2増で温暖化進むと思う人が科学的にマズい訳 政界・経済界のみの都合で決めるのはとても危険

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地球温暖化についての議論の中で、とくに産業革命以降に大量に放出された二酸化炭素(石炭、石油の使用など、人間の活動によって生じた二酸化炭素)が現在の温暖化を生んだのだ、という考え方があります。もちろんその可能性はあります。

ところが、二酸化炭素が温暖化を引き起こす寄与率については、研究者によってなんと9割から1割まで、大きく意見が分かれているのです。2010年には、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が提出したデータの確実性をめぐって、何人かの研究者が疑義を呈しています。また、今後十数年間は寒冷化に向かうのだ、と主張する地球科学者は少なからずいます。

今の勢いで温暖化が進むかどうかは自明ではない

私自身は、将来にわたって、今の勢いで地球温暖化が進むかどうかは必ずしも自明でない、と考えています。

例えば、大規模な火山活動が始まると、地球の平均気温を数℃下げる現象がたびたび起きてきました。こうした現象からも、温暖化の進行が当然の成り行きではないことは、理解していただけるのではないでしょうか。

人口の増大、都市化、経済活動は確かに地球環境と気候変動に影響を与えてきましたが、実は地球科学の「長尺(ちょうじゃく)の目」で見ると、いずれ地球という大自然が吸収してくれる程度のものなのです。

人間による環境破壊には由々しきもの、目に余るものが多々ありますが、地球全体の営力から見ると小さいということも知っておいていただきたいと思います。よって結果としては温暖化と寒冷化、双方の対策をすべきということに結論づけられるのです。

もともと自然界にはさまざまな周期の変動現象があります。例えば、一般的に人類が文明を持たなかった時代の氷河期などのこうした現象は、近現代の人類の生産活動が起こした短期的現象から区別して評価しなければなりません。

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