「silent」規格外のヒットがもたらす4つの影響 驚異的な配信再生数で試されるテレビ業界の今後

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しかし、「silent」のヒットは、「ゴールデン・プライム帯の連ドラでも、これくらいの若手抜擢をしたほうがいい」ということを証明しました。過去を振り返っても、生方さんが敬愛する坂元裕二さんのデビュー作は22歳のときに放送された1989年の「同・級・生」(フジテレビ系)。さらに、野島伸司さん、北川悦吏子さん、中園ミホさん、森下佳子さん、大森美香さん、宮藤官九郎さん、古沢良太さんなどの脚本家デビューも20代です。

一方のキャストですが、「silent」はメインの川口春奈さんが27歳、目黒蓮さんが25歳、鈴鹿央士さんが22歳。特に目黒さんと鈴鹿さんは「まだ名前と顔が一致しなかった」という人も少なくなかったでしょう。ただ、1990年代までは10代俳優の主演作が多く、その他も20代が大半を占めていましたが、2000年代以降は年齢層がジワジワと上昇していきました。

現在の主演俳優は30~40代が大半を占めていて、これには「視聴率を得やすい」「演技力が高い」などの理由があります。しかし、若手俳優にしか見せられないものがあるのも事実で、「いつも同じ顔ぶれ」と言われないためにも、新たな主演俳優や主演候補を発掘していくことがドラマ業界の課題とされていました。

オリジナル作の「silent」がここまでヒットしたことで、「スタッフもキャストも若手をどんどん使っていこう。才能を信じて育てていこう」。バラエティなども含め、そんなムードがテレビ業界全体に生まれる可能性を感じさせました。

メディアが配信再生数を報じた意義

「silent」が今後のテレビ業界に与えるであろう3つ目の影響は、配信再生数をヒットの指標として一般化させつつあること。また、メディアがようやくそれを報じはじめたこと。

これまでテレビ番組のヒットを測る指標は、ほぼ視聴率のみが報じられてきました。録画機器が発達し、さらにコロナ禍に入ってからネットでの配信視聴が一気に普及したにもかかわらず、メディアは依然として視聴率を報じ続けています。

実際は録画や配信で多くの人々に見られているにもかかわらず「低視聴率」「最低を更新」などと書かれ続け、制作サイドは「納得できないけど耐えるしかない」という状態が続いてきました。「いいものを作るほど録画されて視聴率が下がってしまう」「若年層にも見てもらえる作品にするほど視聴率が下がりやすい」というジレンマから抜け出せず、苦々しい思いをしてきたのです。

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