「silent」規格外のヒットがもたらす4つの影響 驚異的な配信再生数で試されるテレビ業界の今後

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ドラマ「silent」(フジテレビ系)、主演の川口春奈さん
ドラマ「silent」(フジテレビ系)。川口春奈さんが主演を務めました(画像:フジテレビ「silent」公式サイト)

12月22日夜、ドラマ「silent」(フジテレビ系)の最終話が放送され、ツイッターのトレンドランキング上位を独占したほか、今なお称賛の声が飛び交っています。

最終話が番組最高の個人5.3%・世帯9.3%を記録した視聴率(ビデオリサーチ調べ・関東地区)や、常にトップクラスだった録画視聴率もさることながら、同作の強みは圧倒的な配信再生数。ドラマに限らず「テレビ番組史上最高」とされる1話平均600万回弱もの再生回数を記録しました。

ドラマ「silent」(フジテレビ系)の1シーン。主演の川口春奈さんと共演の目黒蓮さん(Snow Man)
川口春奈さん(右)と共演の目黒蓮さん(Snow Man)の恋模様が話題に(画像:フジテレビ「silent」公式サイト)

ゴールデン・プライム帯で放送される連ドラのベースラインが100万~200万回程度であり、それまで最高記録だった「ミステリと言う勿れ」(フジテレビ系)が300万回台であることを踏まえると、「『silent』がいかに配信で見られているか」がわかるでしょう。

今年を代表するヒット作であるのはもちろんですが、「silent」は作品単体の結果にとどまらず、今後のドラマ、引いてはテレビ業界に影響を与える可能性を秘めています。盛り上がって終了したばかりの今だからこそ、「どんな作品だったのか、今後にどんな影響をもたらすか」を掘り下げていきましょう。

(※ここから先はネタバレを含みますのでご注意ください)

最近のドラマを否定したような作り方

あらためて物語を振り返ると、「silent」は過去に記憶がないほど展開の少ない作品でした。

ざっくりとあらすじを書くと……高校の同級生だった青羽紬(川口春奈)と佐倉想(目黒蓮)は音楽という共通の趣味もあって恋に落ちるが、耳の病気を患った想はそれを隠して別れを切り出す。8年後に2人は偶然再会して紬は事実を知るが、彼女は同級生の戸川湊斗(鈴鹿央士)と交際していた。しかし、想の友人でもあった湊斗は身を引き、想に思いを寄せていた桃野奈々(夏帆)もあきらめたことで2人の距離は近づく。ただそれでも、なかなか交際には至らず、最終話の終盤でようやく結ばれた。

他作と比べると物語の展開は極端に少なく、大きな出来事も起こらないまま終了。2010年代以降のドラマは視聴率の低下を避けるために、「わかりやすい説明ゼリフを使ってテンポを上げ、急展開を連続させて、できるだけ録画視聴やザッピングを防ぐ」という作り方が主流になり、現在まで続いてきました。

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