国中の農村の家庭で、屋内での調理から出る煙に一酸化炭素や黒色炭素などの有害物質が含まれ、深刻な健康問題が全国に広がっている。
これに対し、政府は、農村部の8000万世帯に調理用のプロパンガス(原油や天然ガスから抽出される)を支給する「青い炎の革命」を開始した。国内外の企業による石油・天然ガスの生産や上流部門への投資を促進するため、会計・規制・価格の制度を見直したり、新しい探鉱のエリアを設けたりもしている。
プラダンによれば、インド政府が目指しているのは、「天然ガスを基盤にした経済の先駆けになること」だという。約600億ドルが長距離のパイプラインと都市部の配管からなる天然ガスシステムの建設に投じられている。
重点施策の1つには、都市の大気汚染を軽減するため、乗用車やライトトラックの燃料をディーゼルから圧縮天然ガスに切り替える取り組みも含まれる。
途上国にとっての「クリーンなエネルギー」
インドは世界のLNG市場で有力なプレーヤーになりつつある。供給源を多様化させ、今では米国産のLNGと石油の両方の主要な買い手にもなった。その結果、米印関係には貿易規模から生じる相互依存という重要な側面が新たに付け加わった。
そんなことは10年前だったら、ニューデリーでも、ワシントンでもまったく想像できなかっただろう。そのほかには、農業廃棄物を地元の工場でバイオ燃料やバイオガスに変えて、大きな流通に乗せるという施策も行っている。
また気候変動を念頭に置いて、モディ政権は再生可能エネルギーの野心的な目標も打ち出した。国内企業が中国製の安い太陽光パネルに対抗できるよう、太陽光パネルに関税も課している。プラダンはこれらを要約し、「インドはインドなりのやり方でエネルギー転換を進めようとしているのです」と言う。
途上国の人々の中には、先進国でのエネルギー転換をめぐる議論に違和感を覚える人がいることもプラダンは指摘している。先進国での議論では、途上国の課題や窮状が軽視されがちで、途上国の多くの人にとっては健康的でよりよい生活を送るのに欠かせない「クリーンなエネルギー」であるものが、「汚いエネルギー」として退けられているからだという。
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