あれから4年「何もしない」を職業にした39歳の現在 依頼は多いと今も月100件以上、そして今後は…?

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「依頼はずっと増え続けています。緊急事態宣言の期間中などは外出をして対面するようなことは控えていましたが、変わらず依頼はあり、今も活動しています」

現在は依頼料1万円で、交通費などかかった諸経費を依頼者が負担することになっている。1人で入りにくい店、ゲームの人数あわせ、花見の場所とりなど、ただ1人分の人間の存在だけが必要なシーンで利用できるというもの。

4年半で4000件以上の依頼

そもそも、森本さんがこのサービスを始めたのはなぜか。開始時は交通費などの諸経費だけで、依頼料をもらうこともなかった。

「なんとなく始めた、というのが本音です。ただ参考にした人はいて、ツイッターで僕より前より活動しているプロ奢ラレヤーという人です。当時は住所不定、無職、他人に奢られることで生計を立てていて」

プロ奢ラレヤーが見ず知らずの人に奢られることを“生業”とするのを見て自分に置き換えた。

「もともと働いていた出版社では編集者をやっていたのですが、あまりなじめず、辞めてフリーランスでライターを始めました。でも、それもしっくりこなくて。無理をせず何か面白い生き方ができないかと模索しているときに、プロ奢ラレヤーの存在に気づき“レンタルなんもしない人”を思いついたんです」

“レンタルなんもしない人”ならば、自分の欠点も生かせると思ったという。

「学生のころから『お前、何もしないな』と言われたり、会社の上司から『いてもいなくても変わらない』なんてよく言われていて。僕は“なんもしないこと”がコンプレックスだったんです。けど、プロ奢ラレヤーさんを見て、逆にそれを売りにできないかと考えました」

森本さんはこのサービスを始める前から結婚しており、息子も1人いる。だが、妻はこの活動をツイッターで見て初めて知ったという。

「今までも僕が変なことをするのを繰り返し見ていたし、妻はそんな自分の気質をわかっているので、“レンタルなんもしない人”のことを知ったときもとくに何も言われなかったですね」

森本さんへの依頼は多いときに月100件くらいくる。この4年半で少なくとも4000件ほど受けたのではないかと振り返る。

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