鉄道開業150周年「節目の年」の出来事を振り返る 「離れ小島」の新幹線開業、赤字線問題本格化
日本の鉄道が開業して150周年の「節目の年」だった2022年。コロナ禍による低迷が続いた鉄道各社の業績は一定の回復が進み、久しぶりの新たな新幹線として西九州新幹線が開業するといった話題がある一方、JR各社が地方ローカル線の収支や利用状況を公表し、赤字路線の現状に注目が集まった。近年深刻化する自然災害による鉄道の被災も相次ぎ、地震による新幹線の脱線も発生した。
鉄道開業から150年、そしてJR発足から35年でもあった2022年。1年間の鉄道をめぐる「光と影」を振り返る。
延長66kmの「西九州新幹線」開業
2022年の鉄道に関する最大のニュースといえば、9月23日の西九州新幹線・長崎―武雄温泉(佐賀県武雄市)間の開業だろう。新幹線が「悲願」だった長崎県は開業に沸く。これまで鉄道駅がなかった嬉野温泉(佐賀県嬉野市)や、長崎まで30分足らずで結ばれた武雄温泉なども新幹線による観光活性化などに期待する。
ただ、同線は延長わずか約66kmの全国最短の新幹線で、ほかの新幹線とは一切接続しておらず、今のところつながる見込みもはっきりしない「離れ小島」の路線だ。開業に合わせて廃止された在来線特急「かもめ」が直通していた博多―長崎間は、武雄温泉で新幹線と在来線特急の乗り継ぎが必要な「リレー方式」となった。このような形になったのは、武雄温泉から先、九州新幹線と接続する新鳥栖(佐賀県鳥栖市)まで約50kmの整備方式が決まっていないためだ。
国は武雄温泉―新鳥栖間の整備を、長崎―武雄温泉間と同じ「フル規格」で進めたい考えだが、地元の佐賀県は新幹線の整備によるメリットが薄いことからそもそも新幹線の建設を求めていないというスタンスで、議論は平行線が続いている。リレー方式はいつまで続くのか、何らかの合意に至る道筋は見いだせるのか。「見切り発車」で開業した西九州新幹線が抱える課題は大きい。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら