インドネシア高速鉄道、一転「国費投入」の理由 国営企業の出資が不足、「準高速」に変更も?
インドネシア政府が今年2022年内の「ソフト開業」を掲げ、急ピッチで工事を進めるジャカルタ―バンドン高速鉄道。ジョコ・ウィドド大統領は、政府負担なしを掲げたそれまでの高速鉄道建設スキームの前提を反故にし、2021年11月に約4.3兆ルピア(約357億円)の国家予算を投じることを決定した。
この予算は、高速鉄道の運営会社であるインドネシア中国高速鉄道会社(KCIC)に出資する、国営インドネシア鉄道(KAI)への融資という形で投入されており、「高速鉄道プロジェクトはあくまでも民間プロジェクトであることに変わりはない」と政府は発言している。
高速鉄道プロジェクトの資金調達は、総工費の75%を中国国家開発銀行からのローンで、残りの25%を中国及びインドネシアの国営企業からの出資により賄っている。これら国営企業は、国が株の一部又は全てを保有する形で、建前上は民営化されている。これが、「民間プロジェクト、国家予算投入なし、政府債務保証なし」という高速鉄道事業のカラクリである。しかし、ここに国費4.3兆ルピアを投じることになった。
「建設費増」ではない国費投入の理由
当初の前提から一転、国が巨額の予算を投入することになったのはなぜか。
ジャカルタ―バンドン高速鉄道を中国が受注した当初は、総工費約60.7億ドル(約88兆ルピア=約7312億円)と謳われていた。ちなみに、日本案も金額だけを見ればほぼ互角か、若干安いくらいであった。結局、工事遅れによる物価の上昇、土地収用の問題等々で工費は膨れており、最終的に約79億ドル(約113兆ルピア=約9390億円)程度になると見積もられている。
ただ、この国費投入は、この工費増大とは関係なしに、インドネシア側のコンソーシアム企業からKCICへの出資額に不足が生じていることが原因だ。
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