インドネシア高速鉄道、一転「国費投入」の理由 国営企業の出資が不足、「準高速」に変更も?

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昨年10月には車両を製造する中国中車(CRRC)青島四方機車車両にて高速鉄道の1号編成と思われる車両が公開されたが、その後の音沙汰はない。現時点で中国から陸揚げされた車両は高速列車ではなく、「緑亀」こと東風4B型(DF4B)ディーゼル機関車のみだ。

田畑の中に建設中のテガルアール駅(筆者撮影)

政府が今年中のソフト開業を掲げる理由は、10月末にバリ島で開催するG20サミットに間に合わせたいためだが、工事は遅れている。前回記事(「インドネシア高速鉄道に中国『中古機関車』の謎」)で述べた通り、この際に中国の習近平国家主席を招いて本当に試乗会を開催するのであれば、バンドン側の一部区間で東風4B型が高速鉄道車両を牽引するという方法しかないと考えられる。そして、中国ラオス鉄道のような準高速鉄道に変更される可能性もないとはいえない。

高速鉄道1号編成と思われる車両は、中国本土向けCR400AFにKCICロゴを貼って撮影しただけの可能性もある。デザインは共通のため、容易なことだ。仮にインドネシア向けに製造されていたとしても、キャンセルされれば、中国国内向けに転用すれば済む話である。

それでも完成の日は近い

中国案での決定当初、日本政府や関係者から「そんなものできるわけがない」と怒りの声も聞こえたジャカルタ―バンドン高速鉄道であるが、かたちはどうであれ、走り出す日は近い。

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国費が投入されたとはいえ、全額を政府開発援助で賄うことと比較すれば、インドネシアの選択はあながち間違っていたとは言い切れない。国民の反応を見てみても、4.3兆ルピアの国費拠出に対し少なからず批判はあるが、それよりも高速鉄道開業への期待のほうが大きく感じる。これが経済成長著しい国の正しい姿であろう。

ジョコ・ウィドド政権が始まって以来、各地で鉄道開発が進むが、国家予算を投入し、沿線を活性化し、利潤を生みだすというのは至極まっとうな考えである。それを忘れてしまったのは日本だけかもしれない。公的資金注入を忌み嫌い、競争至上主義のもと国営企業はおろか、国策会社すら失った我が国は、巨大インフラ開発にすらPPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ=官民連携)万能論が蔓延するこの世界でどう戦っていくのか。不安を感じずにはいられない。

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