インドネシア高速鉄道に中国「中古機関車」の謎 「うなぎを注文したら穴子」どころではない驚き
2019年の開業予定から二転三転、着工当初はジョコ・ウィドド大統領在任の最後の年、つまりタイムリミットともいえる2024年開業とまで囁かれたインドネシアのジャカルタ―バンドン高速鉄道。最新の動向では、今年2022年内の「ソフト開業」、2023年の本開業が有力視されている。
昨年10月には車両を製造する中国中車(CRRC)青島四方機車車両にて、1号編成と思われる車両が公開され、中国国内で試運転を行うとアナウンスされた。2022年のソフト開業を考慮すると、試運転期間なども踏まえ、早ければ年明け早々にも車両がお目見えするのではないかと期待が高まっていた。
高速列車ではなく「緑亀」が上陸
が、やってきたのは、ひところの中国国鉄の顔とも言える「緑亀」こと、中古の東風4B型ディーゼル機関車(DF4B)だった。1970年頃から約20年以上の長きにわたり、およそ4500両が製造された中国国鉄の標準型機関車だ。ただ、趣味的には非常に興味深い展開である反面、おおよその人から見れば、「うなぎを注文したら穴子が出てきた」どころの話ではない。
現時点で東風4B型は5両がインドネシアに到着したことが確認されている。最初は昨年11月下旬、まず1両のみ陸揚げされた。高速鉄道を運営するインドネシア中国高速鉄道会社(KCIC)に問い合わせたところ、工事用とのことだった。建設工事用の各種機材はすでに中国から多数持ち込まれていたが、鉄道車両がそのまま導入されるのはこれが初だ。機材は建設会社の所有のため開業後は中国に戻されるが、東風4B型はKCICに譲渡され、開業後も保線作業などで使用するとのことだった。
これなら納得できる話である。同じく一帯一路政策の下で鉄道建設を進めている国々でも工事用車両として東風4B型が活躍している例はある。しかし、今年1月下旬にはさらに4両が到着し、計5両になった。港湾関係者によれば、今後追加で5両ほど到着する予定もあるという。保線作業に使うとして、わずか142.3kmの区間に5両は過剰である。仮にさらに追加され、10両となればなおさらだ。これはさまざまな憶測を呼んでいる。
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