どんな車両?日立製、「時速360km」英国新幹線 TGVのアルストムと共同、契約金額は3000億円
日本の新幹線を手がけた日立が、フランスTGVのメーカーとともに最高時速360kmのイギリス高速鉄道向け車両を製造――。コロナ禍の閉塞感が続く中、欧州鉄道業界にとって大きなインパクトのある案件がついに正式発表された。
日立製作所は12月9日、同社の鉄道システム事業におけるグループ会社の日立レールと、フランスのアルストムが折半出資する「日立アルストムハイスピード共同事業体(Hitachi-Alstom High Speed、HAH-S)」が、イギリスで建設中の高速鉄道「ハイスピード2(HS2)」向け車両の製造・保守を受注したと発表した。
受注したのは欧州最速となる最高時速360kmの高速列車54編成の設計、製造と、12年間に及ぶ保守業務で、契約金額は総額19億7000万ポンド(約3000億円)の大型プロジェクトだ。
「世界的高速車両メーカーへ確固たる地位」
HS2はロンドンとイングランド北部を結ぶ高速鉄道で、まず「第1期」としてロンドンとイングランド中部バーミンガムを結ぶ区間が2029年の開業を目指して建設中だ。さらにマンチェスターなどへの延伸が「第2期」として計画されている。同線に導入する車両をめぐっては、日立・アルストムをはじめ、各国の代表的な鉄道車両メーカーが落札を目指して競争を展開してきた。
日立の鉄道システム事業の最高経営責任者(CEO)アンドリュー・バー氏は、受注発表の翌日に開いた記者会見で「高速鉄道の分野では、最高時速360kmはいまや世界標準だ。英国は鉄道の高速化では立ち遅れていたが、やっとこの波に乗ることができる」と述べた。そのうえで今回の受注により、「日立が世界的な高速車両メーカーのひとつとして、確固たる地位を築くことができる」とさらなる受注拡大へも期待感をにじませた。
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