どんな車両?日立製、「時速360km」英国新幹線 TGVのアルストムと共同、契約金額は3000億円

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

西海岸本線には現在、列車運行オペレーターの1社であるアヴァンティ・ウェスト・コースト(Avanti West Coast)の優等列車が走っているが、HS2開通後は、バーミンガム以北の同線を走る列車が高速車両に置き換えられることになる。

運行区間は、ストーク、クルー、カーライル、マザーウェルを経てグラズゴーに至るルート、そしてクルーから分岐するマンチェスター、リバプールへのルートが設定される見込みだ。

同区間には現在、アヴァンティ運行のアルストム製振り子式電車「クラス390ペンドリーノ」が最高時速220kmで走っている。HS2車両は既存の200km超走行可能なレベルのインフラを擁する在来線を、ペンドリーノの置き換えもしくは増発分として走ることになる。

欧州に広がる日立製高速車両

今回の車両受注はあくまでHS2の第1期向けとして行われたが、バーCEOは第2期向けについても「延伸計画については承知している。チャンスがあれば喜んで参加したい」とさらなる入札に関心を寄せる。

日立製の高速車両は今回のHS2向け車両受注だけでなく、欧州で存在感を広げつつある。同社が製造するイタリア鉄道向けの高速列車「フレッチャロッサ1000(ETR1000)」が、フランスとスペインでも新たに走りだすのだ。

イタリアのピストイア工場で製造中のETR1000(筆者撮影)

2021年12月18日には、ミラノ中央駅―パリ・リヨン駅間の高速列車としてイタリア国鉄の列車運行会社トレニタリア(Trenitalia)が1日2往復の運行を開始する。ETR1000によるイタリア国外への進出はこれが初だ。スペインでは、同国初のオープンアクセス運行会社としてトレニタリアが出資するILSA社による新たな高速列車「iryo」が2022年中に走り出す。こちらはETR1000を23編成投入し、マドリードを拠点にバルセロナ、バレンシア/アリカンテ、セビリア/マラガ間を運行する予定だ。

欧州では環境意識の高まりから、鉄道へのシフトが着実に進んできている。航空からの転移の受け皿として、高速鉄道の役割は今後さらに大きくなることだろう。

さかい もとみ 在英ジャーナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

Motomi Sakai

旅行会社勤務ののち、15年間にわたる香港在住中にライター兼編集者に転向。2008年から経済・企業情報の配信サービスを行うNNAロンドンを拠点に勤務。2014年秋にフリージャーナリストに。旅に欠かせない公共交通に関するテーマや、訪日外国人観光に関するトピックに注目する一方、英国で開催された五輪やラグビーW杯での経験を生かし、日本に向けた提言等を発信している。著書に『中国人観光客 おもてなしの鉄則』(アスク出版)など。問い合わせ先は、jiujing@nifty.com

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事