どんな車両?日立製、「時速360km」英国新幹線 TGVのアルストムと共同、契約金額は3000億円
イギリスでは2021年10月末~11月中旬にかけて、スコットランドのグラスゴーで国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)が開かれた。成果文書では、温暖化の防止目標に加え、各国が来年2022年中に「2030年までの排出目標を再検討し、強化すること」で合意、脱炭素社会への活動指針が改めて示された。イギリスでは2030年のガソリン、ディーゼル車の新車販売終了もすでに決まっている。
こうした中、新たな高速鉄道に寄せられる期待も高まる。この点についてバーCEOは、「HS2開通後は混み合っている在来線の線路が空き、そこへより多くの貨物列車を走らせられる」とし、「トラック輸送に依存している物資輸送の鉄道への転換促進も図れる」との考えを示した。
さらに、「国内の長距離移動の足として航空機から鉄道への転換にも貢献する」とし、その好例として、ロンドン―エディンバラ間に10月25日、同社製車両「クラス803電車」を使用して運行開始したイギリス初の長距離格安列車「Lumo(ルモ)」(2021年10月28日付記事「英国に登場、日立製『格安高速列車』初日乗車ルポ」)を挙げた。
HS2車両の走るルート
バーCEOは会見で、「持続性(サステナビリティ)」という言葉を何度も口にした。鉄道はもともと自動車や飛行機に比べ温室効果ガスの排出量が少ないが、今後は再生エネルギー由来の電力供給の割合が増えることでさらに優位となる。
HS2車両についての発表でも、導入される最先端の回生ブレーキシステムについて「エネルギーを送電網に戻すことで、エネルギー効率をさらに高める」など温室効果ガス削減につながる内容を多く盛り込んでおり、環境性能の高さで鉄道のメリットを強調しようという姿勢がうかがえる。
ただ、ロンドン―バーミンガム間の高速線HS2が結ぶ両都市間の距離は160kmあまりだ。ここだけでは「航空機からの転換」を期待するには短すぎる。
現在のプランでは、HS2を走る列車のうち相当数が在来線の西海岸本線(West Coast Main Line)に乗り入れてスコットランド方面まで足を延ばすことになっている。つまり、HS2車両は単純に高速線を往復するだけではない。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら