インドネシア高速鉄道に中国「中古機関車」の謎 「うなぎを注文したら穴子」どころではない驚き
「ソフト開業」とは、インドネシアで新線が開業する際、いつも使われている手法である。開業期日から逆算してスケジュールを立てられないことから、日本のように「○○○○年○月○日開業」と事前に打ち出されることはない。そこで、完成が近づき最低限の運行が可能になった段階で、最初は少数の招待客を乗せ、徐々にその人数を増やしていく。いわば死重代わりとして試運転列車に客を乗せているのだ。そして、いつのまにか事前登録だけで誰でも乗れるようになる。この際は無料だったり、通常よりもかなり安い運賃で乗れたりする。
この一連の状況がソフト開業だ。これで問題が発生しなければ、一定期間の後、ある日突然本開業となる。インドネシアの鉄道は、気づけばいつの間にか走り出していたとよく言われる。
ソフト開業は、政治的な理由で開業期日に間に合わせるためにも用いられる。ジャカルタのスカルノ・ハッタ空港鉄道は「2017年末開業」を達成するために、まずは1回だけ試運転に客を乗せて開業したことにしてしまった。ジャカルタMRTも2019年3月開業の公約を守るために無料乗車会を開き、本開業していないのに開業式典を開いた。
いまだに開業していないLRTジャボデベックは、ジョコ・ウィドド政権2期目組閣時に退任が決定していたリニ前国営企業相の顔を立てるために、2019年10月に作業用の機材でLRT車両を牽引させて「走った」ことにした。もはや「何でもあり」なのである。
政府は「進捗率約8割」と主張
政府発表では、昨年末時点で工事進捗率は約8割とされている。確かにこの1~2年ほどでかなりの区間の橋桁がつながり、トンネルも続々と貫通していて、いよいよ開業も近づいていることを感じさせる。レールも昨年10月までに、およそ1年間かけてジャカルタ―バンドン間複線分3万8000トンを中国から輸送した。レールはジャワ南海岸のチラチャップ港に陸揚げし、そこからはKAIの在来線を活用してバンドン側のテガルアール車両基地に搬入した。車両基地で溶接作業を行い、ロングレール化してから敷設を進めている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら