茂木健一郎が語る「周りに流されない人」の頭の中 SNSに情報が溢れる中、どう正しい判断をするか

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目の前の問題を解決するべく、現状を打破し、困った日本社会に染まらず、自分で物事を正しく判断する知性を持つ──そのためによい方法があるとすれば「物事を正しく判断できている人を真似る」ことだと思います。

脳には「ミラーニューロン」という神経細胞があります。ミラーニューロンは、自分が行動するときと、別の人が行動するのを見ているときの両方で活動する神経細胞です。つまり、別の誰かの行動を見て、自分が同じ行動をとっているかのような、鏡に映したような同じ反応をすることから名づけられました。

ミラーニューロンがあるおかげで、僕たちは目の前の人の次の動作をスムーズに予測できます。たとえば、目の前にいる人が居酒屋でビール瓶を持ち上げたら自分に注いでくれるんだなと思ってグラスを差し出す。これはミラーニューロンが相手の行動を自分がしているかのように感じさせてくれるから、「自分だったら相手のグラスに先にビールを注ぐだろう」と予測できるわけです。

ミラーニューロンの働き

本当に頭がいい人を真似る

このミラーニューロンは、学習の場面でも働きます。よく、「学ぶは真似る」なんて言います。これがまさしくミラーニューロン効果で、うまい人を見ているうちに自分も上達するんですね。

赤ちゃんは親やまわりの兄弟姉妹のやることを見ながら、立ったり、歩いたり、しゃべったりして上達していきます。上に兄や姉がいる子は発達が早い(場合が多い)というのも、ミラーニューロンのなせるわざです。

ですから、本当の知性を磨こうと思ったら、「本当に頭がいい人」を真似ることです。

「本当の頭のよさ」があれば、フォローしている誰かの言葉を鵜呑みにするのではなく、なんとなく雰囲気に流されるのではなく、自分の考えに基づいて「これは正しい」「これは間違っている」などの判断ができるようになります。

論理的思考力の高さを測る、といったときに思い出すTV番組があります。イギリスの政治家と官僚たちの闘いをユーモラスに描いた傑作『イエス・ミニスター』(1980〜1984年・BBC TWO)のワンシーンをご紹介しましょう。

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