昭和生まれのための「紅白歌合戦」10倍楽しむ見方 今年の「紅白歌合戦」は"近年最高"かもしれない
だが、紅白の“流れ”で強制的に観ることになった彼は、自己紹介、曲、歌唱、大塚国際美術館という舞台、トータルで背筋が伸びるほど美しく、「最近の音楽はわからない」と閉ざしていた心の壁を突破する力があった。
「誰もが口ずさめるようなヒット曲はもう生まれない」と思っていたけれど、音楽の伝え方が多様になっただけで、いいものはいいし、ちゃんと大勢に突き刺さる。聴かず嫌いをしているのはもったいない――。
この紅白の『Lemon』の歌唱は、私の聴かず嫌いをやめる一つのターニングポイントになった。「米津の文明開化」と勝手に命名し、主題歌になっていたドラマ『アンナチュラル』まで後追いで観た。こういう出会いがあるから、紅白は侮れない。
今年、彼の名は出演歌手に入っていないが、再出場してほしいアーティストの一人である。
「紅白」は“感動ガチャ”が楽しめる
賛否両論はあれど、選出された新人アーティストたちには、必ず“旬”がある。
1990年代前後、地上波のドラマ主題歌が大ヒットを連発したように、現在はアニメ主題歌からの大ヒットが熱い。その最たるアイコンとして登場するのが、アニメ映画『ワンピース』のキャラクターそのままで出演する「ウタ」だ。
「BE:FIRST」は、2000年頃下火になったが、ここ数年で再び盛り上がっているオーディションブームの出身。若者の才能とプロ意識、野心に加え協調性の高さが見え、とてもまろやかな空気が漂っている。
また、「JO1」「LE SSERAFIM」「IVE」は、幾度も旋風を巻き起こしているK-POPの猛烈な勢いを見せつけてくれるだろう。
特にJO1はデビュー4年目にして、今年の紅白ではデビュー曲の『無限大』を披露。彼らの歌を聴いたことがない人も1から知ることができる絶好の機会となりそうだ。
LE SSERAFIMは元HKT48の宮脇咲良(SAKURA名義)が所属。彼女は個人で6年ぶりに紅白の舞台に戻ってくることになる。
「K-POP人気の根強さ」をステージで確認するのに最適なフックは用意されている。私もIVEは初視聴。またもや“文明開化”が起こるかも!
“年末”という特別な時期、独特の雰囲気で茶の間で観るステージは、馴染みのない歌もグッと近くしてくれる。そう言った意味で、さまざまなジャンルの歌手が出る紅白は、まさに“感動ガチャ”。
知らないアーティストに稲妻が走るほど感動することができるかもしれない。また、久々に出演するアーティストの楽曲の意外な魅力に気づくかもしれない。もちろん「なーんだ」もあるかもしれない。すべて込みで楽しみだ。
心強いのは、私のような視聴者の楽しみも戸惑いも、全部引き受けてくれる司会の大泉洋。彼が、「ザ・ベストテン」の久米宏並みに浮かれたりぼやいたり、盛り上げてくれるのも嬉しいところ。今年もあの恒例の叫び声「ブラッヴァ―!!」が聴けるだろうか。
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