地方都市の路線バス、乗ってわかった「不便な点」 ICカード共通、でも乗り場が別・八戸下北半島編

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小川原湖が海とつながる高瀬川を渡ると六ヶ所村だ。途中、貸切バスと次々にすれ違うようになる。原子力関連施設への通勤バスと見受けられた。地元のバス会社にとってはありがたい顧客のはずである。

9時15分に着いた終点の追舘は目立つ特徴もない集落で、なぜここが終点なのか、よくわからない。三沢中央からは1250円かかり、コミュニティバスらしからぬ運賃のほうに驚く。ここまで来ると野辺地からやってくる六ヶ所村医療センター行きのバスがありルートはつながるが、平日2往復のみの運転で次は13時27分発。時間を持て余すので、折返し9時50分発で三沢市内へ戻り、青い森鉄道経由で野辺地駅前から12時40分発に乗った。

六ヶ所村の中心地は尾駮(おぶち)で、役場もここにある。13時42分着の六ヶ所役場前で降り、この日の最終コース、野辺地から別ルートでやって来る16時25分発の下北交通六ヶ所線泊車庫行きを待つ。尾駮はかなりの町で、喫茶店があったのが幸いだった。

六ヶ所役場前の十鉄バス
六ヶ所役場前に着いた十鉄バス(筆者撮影)
泊行きの下北交通
泊行きの下北交通(筆者撮影)

ただ、原子力関連施設からの収入があるとはいえ、公共施設が立派なぐらいで、六ヶ所村自体は閑散とした村である。人口は1万人あまり。泊は南北に、海岸沿いに連なるかなり大きな漁村。この先、接続はないので、16時59分に着いた泊漁協前で降り、目の前の民宿に泊まる。バスは950円かかった。

下北半島の北東端へ

最終日10月22日土曜日。宿に近い袖の戸バス停6時41分発で、いったんむつバスターミナルへ向かう。1日4往復の下北交通泊線だ。ほどなく東通村に入るが、小田野沢から北の猿ヶ森砂丘は防衛装備庁の下北試験場となっており、道は通じているが路線バスはない。

狭い泊の道を走るむつバスターミナル行き
狭い泊の道を走るむつバスターミナル行き(筆者撮影)
尻屋崎バス停と灯台
尻屋崎バス停と灯台(筆者撮影)

むつバスターミナル8時03分着。かなりのロングラン路線で1650円かかった。最終コースはむつ市から東通村に再び入り、尻労(しっかり)に立ち寄ってから、尻屋崎へ。8時25分発で尻労へ行き、9時01分着。9時20分発で折返し、レストハウスがある野牛沼まで戻って、尻屋崎行きを待つ。尻屋など旧道沿いの集落に寄っては新道に戻る下北交通は、最後は観光客を数人だけ乗せて10時23分、尻屋崎着。目の前には、今日は穏やかな太平洋が広がっていた。

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土屋 武之 鉄道ジャーナリスト

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つちや たけゆき / Takeyuki Tsuchiya

1965年生まれ。『鉄道ジャーナル』のルポを毎号担当。震災被害を受けた鉄道の取材も精力的に行う。著書に『鉄道の未来予想図』『きっぷのルール ハンドブック』など。

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