「老化」物覚えが悪いよりも深刻な"無口"の弊害 50代から始める脳を鍛える「具体的な習慣」

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第二に、そもそも「アレ」「ソレ」「コレ」で会話が成り立ってしまう相手というのは、よく言えば「あうん」の呼吸の仲なのですが、ちょっと厳しい言い方をすれば、お互いすでに「新鮮味のない」「刺激のない」「惰性で付き合っている」関係ともいえます。

このような関係の付き合いのなかでは、前頭葉を使う機会もありません。

「アレ」「ソレ」「コレ」頻発の会話には、こうして知らず知らずのうちに老化への加速度をアップさせてしまう危険が潜んでいるのです。

「わからないから教えてほしい」と訊くことが重要

わからないことは素直に尋ねる
出力系を鍛える最も簡単な方法は、“誰かと話すこと”。「記憶が曖昧だから間違ったことを言いそう」「こんなことは今さら人に訊けない」──そんな心のバリアは今すぐ取り払おう。

歳をとると無口になり、それが老化を加速させるのであれば、その「無口」を改善させるのがアンチエイジングの最も手っとり早い方法です。もっともすでに無口になっている方には「それは難しい」と思われるかもしれません。ではなぜ、難しいのでしょうか─―。

無口になったのは、脳のインデックス(検索)機能が衰えて、記憶が曖昧になったり思い出せなくなったりしたため、あるいは、人と話すと、自分の知らないこともたくさん出てきて話題についていけなくなるかもしれないと思ってしまうからでしょう。

しかし、歳をとってもハツラツとしている人というのは、自分の知らないことや知りたいことがあると、素直に「わからないから教えてほしい」と訊き、相手の説明に熱心に耳を傾けます。そして、自分なりの経験や実績を積んできた人ほど、積極的に質問し、教えを乞います。

松下幸之助氏は晩年になっても、「自分にはわからないこと」があれば、初歩的なことでも自分の孫ほどの年齢の技術者や研究者に、徹底的に訊いていたといいます。

こんなことを言ったら、こんなこともわからなかったら、こんなことを訊いたら「恥ずかしい」─そんなプライドは捨て去って、「わからないことがあったら、訊けばいい」という気持ちでとにかく人と話してみること。これが出力系を鍛えることに直結するのです。

日記に書き「出す」
出来事を「書き入れる」入力作業も、その前に書き入れることを「思い出す」作業があってこそ。平凡な1日にも必ず「思い出せる出来事」があるもの。日記は「記憶を引き出すトレーニング」になる。

子どもの頃、夏休みの宿題で毎日「日記」を書かされたことのある方も多いと思います。家族で旅行に行ったり、友達と遊んでいて何か特別に面白いことがあった日ならともかく、「今日は何を書いたらいいのだろう」と悩ましい日もあったことと思います。

まして大人になって、毎日決まりきったルーティンで日々を過ごしていると、「日記を書く」なんて不可能のように思われてきます。しかし、特に何もなく、記憶に残るようなこともない平々凡々な1日ほど、「出力系」を鍛えるには恰好のチャンスなのです。

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