日本の防衛政策大転換、中国の反発をどう見るか 自民・小野寺氏「抑止力が効いているということ」

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橋下徹氏(弁護士・元大阪府知事):その着手時期の話を、反撃能力の議論の中に持ってくるのは違うのではないか。反撃能力はあくまでもその能力を保有する問題であり、着手時期というのは、いつやるかの話で全然別物だ。着手時期を詰めていくと、では、日本は一撃を受けてからしか反撃できないのかという議論になる。立憲民主党としては、日本は一撃を受けてからしか動けないという立場なのか。

渡辺氏:いや、そこまでは……。橋下さんが言うように能力保有と行使は別だ。日本の自衛のために長射程化する、あるいは反撃能力を向上させることについて、わたしたちは変わりゆく安全保障環境の中で、整備していくことは必要だと言っている。ただ、その行使について曖昧なままにしておくことで、歯止めがなくなることをやはり懸念する。

武器の提供と抑止力の高まりの関係性

松山キャスター:3文書には、「防衛装備移転三原則」の運用指針見直し検討も含まれている。

渡辺氏:歯止めなく殺傷兵器や破壊兵器までも売っていいのかということにならないように(すべきだ)。例えば、非常に軽くて強靱(きょうじん)性の強い防弾チョッキなどは積極的に輸出してもいいと思うが、議論は必要だ。わが国は人を殺すようなものや大量破壊をするようなものは作って売らないと。死の商人にはならないということを議論すべきだ。

橋下氏:渡辺さんの考え方も1つあると思う。これは議論してもらいたいが、「死の商人になるな」ということだけではなく、では、欧州などで武器を輸出したり融通したりしている国が安全を脅かされているかと言えば、むしろ防衛産業がきちんと整っているほうが安全に資するという考え方もある。軍国主義を解体するために、戦後さまざまな制約を課された日本の今の状況を、なにか所与の前提として考えずに、国際情勢に合わせた考え方を持って議論してもらいたい。

(画像:FNNプライムオンライン)

渡辺氏:これは絶対だめだとは決めていない。

小野寺氏:1番大事なこと。どうしていろいろな国が自分たちの武器をいろいろな国に提供するかというと、武器の提供を受けた国は当然、すべての武器の技術やそのほかを、その武器を提供した国に知られているから、敵対しない。逆に言うと、武器がたくさん広がることにより、その国自身は安全保障の抑止力が高まる。だからアメリカは一生懸命やっているし、中国もロシアもやっている。武器というのは戦うだけではなく、それを提供することはむしろ抑止力が高まる、その両面がある。

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