米国の株価は想定よりも早く下落を始めた可能性 2023年の日経平均の下値メドも小幅に下方修正

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アメリカの大手証券会社では大規模人員削減が取り沙汰されるなど、先行きには不安も広がる。日本株にも影響が大きいだけに注意が必要だ(写真:ブルームバーグ)

12月12~16日のアメリカの株式市場で、事前に注目されていたのはCPI(消費者物価指数)やFOMC(連邦公開市場委員会)だった。結果として同国の主要株価指数は、発表当日こそ大きな振れはあったものの、方向性は明確には生じなかった。このため、直後の日本市場においても、株価指数は動意に乏しかったといえる。

アメリカ市場は14日までは想定内の動きに

具体的に見ていくと、まず13日に公表された11月のCPI上昇率は前年比7.1%と、10月の同7.7%から低下した。そのうえ、市場の事前予想である7.3%をも下回った。

このため、インフレ懸念が薄らぎ、一時はNY(ニューヨーク)ダウ平均株価が前日比で707ドルもの急騰を示した。しかし、投資家が「とはいっても、FOMCの結果を待ちたい」と様子見に転じたためか、同日のザラ場では同指数が前日比マイナスになった局面もあり、結局、同104ドル高と小幅高で終わった。

同日から14日にかけて開催されたFOMCでは、予想どおり0.5%幅の利上げが行われた。ただ、同時に公表された「FOMC参加メンバーによる2023年末の政策金利水準の予想値」については、最多数のメンバーが5.0~5.25%の誘導レンジを見込んでいることが示された(この5.0~5.25%の中間の値を使って、「5.1%が見込まれている」などの表記が多い)。

すでに5日にはウォールストリートジャーナル紙が「2023年末の金利水準予想値は4.75~5.25%へと引き上げになる」との観測記事を報じていた。実際には上記のように5.0~5.25%だったため、報道よりも若干高めのニュアンスだったといえる。

とはいっても、観測報道と実際の予想値は微妙な差にすぎず、同日の日内の株価指数は不安定に上下動したものの、大きな下落とはならなかった(NYダウは前日比142ドルの下げ)。

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