方向感のない米国株式市場を読む2つの重要指標 「金利」や「経済指標」の強弱をどう解釈すべきか

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市場はパウエル議長の発言の「タカ派的な発言」には高をくくっているようだ(写真:ブルームバーグ)

当コラムでは、これまで「2023年は金融引き締めの累積的な影響によってアメリカの経済が悪化していく」と予想し、「昨年とは同国の株式市況の相場つきが変わるのではないか」と述べてきた。

つまり、昨年までは「インフレ懸念が台頭し、長短金利がどんどん上昇する」との不安が市場を支配した。そのため、(1)「逆金融相場」(長短金利上昇による株価下落)の様相が濃かった。これがいったんの株価の戻りを経たあと、2023年は次第に景気や企業業績の悪化が鮮明になっていき、(2)「逆業績相場」(企業収益の減益による株価下落)に移行するだろう、との見解だ。

アメリカ市場の注目点は再度金利動向へ

だが2月に入って、アメリカの株式市場の注目点は再度金利動向に向かっているようだ。そもそも相場というものは「○月○日までは逆金融相場で、その翌日からは逆業績相場に突入する」などと明確に変貌することは通常ありえない。

投資家の見解もあちらへいったりこちらへいったりと悩みつつ変わる。そのため、市場の注目点がいったん景気や業績に移っても再び金利が注視されるようになるというように、「行きつ戻りつ」をこれから何度も繰り返すだろう。

2月から再度金利の先行きに関心が集まったきっかけは、1月31日~2月1日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)の結果だろう。同会合で0.25%幅の利上げが決定されたこと自体はすでに予想されていた。だが、市場はFOMC後のジェローム・パウエルFRB(連邦準備制度理事会)議長の記者会見を材料視した。

議長が「初めてディスインフレーション(インフレ鎮静化)のプロセスが始まったといえる」など、インフレの鎮静化を示唆したため、「今後の利上げはあまり進まないのではないか」との期待が広がり、株価は上昇した。パウエル議長は同様の文言を、2月7日の対談イベントにおいて「インフレ鈍化のプロセスは始まっている」と繰り返している。

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