米国の株価は想定よりも早く下落を始めた可能性 2023年の日経平均の下値メドも小幅に下方修正
このため、アメリカの経済指標で強いものが発表されれば「金利が一段と上がる」という懸念が膨らみ、株価の悪材料となった。逆に、経済指標が弱ければ「金利先高観が薄らぎ、市場は好感する」という反応であった。
一方、筆者が来年前半に見込んでいる株安は、これまでの利上げの効果でアメリカの景気や企業収益が本格的な悪化を示すとの懸念が膨らむということによるものだ(逆業績相場)。つまり、主役は金利ではなく、「景気」だといえる。
そうした局面へと市場が歩を進めれば、アメリカの経済指標で強いものが出れば、景気後退懸念が薄らいで株価が上がるだろう。逆に経済指標が弱ければ、企業業績の悪化懸念が優勢となり、株価は下がるはずだ。
ほんの少し前を振り返ると、12月2日に11月の雇用統計が発表され、非農業部門の雇用者数は前月比で26.3万人増と、市場の事前予想の20.0万人増を上回る強い数値だった。発表直後のアメリカの主要株価指数は下押しし、金利上昇を見込んでドル相場は上振れした。そうした動きは引けにかけて解消されたものの、市場の主役が依然として金利であったことが示された。
続いて5日は11月のISM非製造業指数が発表され、10月の54.4から53.5に低下すると見込まれていたところ、逆に56.5に上昇した。この強い数値を受けて、同日と翌6日のアメリカの主要な株価指数は下落を続け(とくに金利上昇に弱いとされるナスダック総合指数の下落率が高く)、ドルも上昇基調をたどった。つまり、その辺りまでのアメリカの市場動向は「旧局面」にあったといえる。
小売売上高をどう見ればいいのか
さて、話を11月の小売売上高に戻そう。同統計は前出のように15日に発表され、前月比で0.6%減少した。その前の10月分が同1.3%増と急増していたため、その反動で11月分については事前予想でも前月比マイナスを見込む向きは多かったが、予想を超える落ち込みとなった。
ただ、経済実態について不安な内容だとは考えていない。中古車やガソリンについては、需要が悪化しているというよりは、ひところ高騰した価格が逆に足元で反落しているため、消費金額が抑え込まれたという面もある。
また、インフレを見込んだ消費者が、価格が上がる前に買ってしまおうとし、そうした消費者の意向をビジネスチャンスとみて、かなり早いうちから値引きセールを始めていた小売店も多い。
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