新たな雄パンダ来日?和歌山の3頭が2月に中国へ 永明は1994年に来日、以後白浜で暮らしていた

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ただ、パンダたちは、ずっと成都基地にいるとは限らない。これまでにアドベンチャーワールドから中国へ行った11頭の中には、最初は成都基地にいて、その後、中国のほかの動物園や飼育施設に移ったパンダもいる。

そこからさらにほかの動物園に移動したり、成都基地に戻ったりすることもある。アドベンチャーワールドによると、2022年10月時点で成都基地にいるのは11頭中5頭。6頭は広東省、陝西省、広西省、河北省、貴州省、安徽省で暮らしている。

なお、同じ日本にいるパンダでも、上野動物園と神戸市立王子動物園のパンダは、中国大熊猫保護研究中心(中国ジャイアントパンダ保護研究センター:CCRCGP)から来ている。そのため、シャンシャンやタンタンの行き先は、成都基地ではない。CCRCGPのいずれかの基地になる。

なぜ2023年2月に渡航?

永明、桜浜、桃浜の中国行きが、なぜ2023年2月なのかというと「中国側の受け入れ体制が整ったためです」(アドベンチャーワールド広報)。中国のコロナ対策が緩和されて渡航しやすくなったことや気温は理由ではないという。偶然ながら2月は気温が低い。パンダは暑さが苦手なので、2月の渡航なら、春や夏より過ごしやすいだろう。

今後、アドベンチャーワールドでは3頭の渡航に向け、健康状態を確認するための検疫を実施する。検疫期間は2023年1月中旬から約1カ月間を予定。検疫は室内で行うので、屋外で観覧できなくなるが、検疫期間中もガラス越しに3頭を公開する予定だ。

検疫の場所は、2カ所あるパンダ舎のうち、入り口から遠いほうの「ブリーディングセンター」。現在、桜浜・桃浜は、もう1カ所のパンダ舎「パンダラブ」にいるので、検疫に向けて「ブリーディングセンター」へ移る。現在「ブリーディングセンター」にいる良浜と彩浜は「パンダラブ」に移る予定だ。

3頭の渡航の日は、アドベンチャーワールドが後日発表する。飛行機は定期便かチャーター便か、定期便ならどの航空会社で、どの経路を使うか、直行便か乗り継ぎ便かなどは「お答えしておりません」(同)としている。ちなみに2017年6月に3頭が渡航した際は、成田空港から全日本空輸(ANA)の成都直行便を使った。

永明(奥)の最後の子どもになる可能性が高い楓浜(手前)。パンダの父子は一緒に暮らさないので、エリアは別々。2021年11月23日(筆者撮影)

パンダは現在、日本に13頭いて、中国国外で最多。次に多いのはアメリカの9頭だ。日本の数は今後、永明、桜浜、桃浜、シャンシャンが中国へ行って、新たなパンダが来るまでは9頭になる。

中川 美帆 パンダジャーナリスト

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なかがわ みほ / Miho Nakagawa

福岡県生まれ、早稲田大学教育学部卒。毎日新聞出版「週刊エコノミスト」などの記者を経て、ジャイアントパンダに関わる各分野の専門家に取材している。訪れたパンダの飼育地は、日本(4カ所)、中国本土(11カ所)、香港、マカオ、台湾、韓国、インドネシア、シンガポール、マレーシア、タイ、カナダ(2カ所)、アメリカ(4カ所)、メキシコ、ベルギー、スペイン、オーストリア、ドイツ、フランス、オランダ、イギリス、フィンランド、デンマーク、ロシア。近著『パンダワールド We love PANDA』(大和書房)

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