新たな雄パンダ来日?和歌山の3頭が2月に中国へ 永明は1994年に来日、以後白浜で暮らしていた

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永明がいなくなれば、雄のパンダはいなくなる。新たに雄のパンダが来るのかアドベンチャーワールドに尋ねたところ、「前向きに進めています」(広報)との回答。そのパンダが良浜のパートナーになるのか、あるいは結浜や彩浜や楓浜のパートナーになるのかは「お答えできません」(同)とのことだ。

永明が中国へ行く計画は以前からあった

永明が中国へ行く計画は以前からあった。アドベンチャーワールドが南紀白浜マリオットホテル(白浜町)で2019年3月9日に開催した「ジャイアントパンダ日中共同繁殖研究シンポジウム」でのこと。四川省の成都大熊猫繁育研究基地(成都ジャイアントパンダ繁育研究基地)から3人の専門家が招かれ、パンダの健康管理や保全活動などについて講演した。専門家の一人は張志和博士。パンダの関係者の間では世界的に著名な人物だ。

シンポジウムの終盤、来場者が事前に提出した質問に登壇者が答えるコーナーで、パンダの相性についての質問があった。張博士はこう答えた。

「良浜は必ず良いマッチングができるようにします。必ず気に入るボーイフレンドができます。永明は高齢になりました。中国と日本で協力して、良い方向にできればと思います。アメリカの高齢パンダは帰国しています。天寿をまっとうしてもらいます。双方の政府合意のもと、緊密に協力し、健全に繁殖していきます。科学的なデータも、もちろん考慮します」(日本語訳は会場の通訳にならった)

一緒に登壇していたアドベンチャーワールドの中尾建子さんは、張博士の回答に続けて「会場からの質問は『永明は高齢になり、この先どうなりますか?』という内容がほとんど。ご心配いただいているのはわかります。中国と日本でいろいろ協議して、これから良い方向にできればと思います」と話した。

「ジャイアントパンダ日中共同繁殖研究シンポジウム」で質問に答える登壇者。右から2人目の赤とパンダのネクタイの男性が張志和博士。2019年3月9日(筆者撮影)

それから1年経たずしてコロナ禍となり、日中間の行き来は難しくなった。さらに2020年11月22日、楓浜が生まれた(参照:『和歌山「赤ちゃんパンダ誕生」5つの異例な事情』)。

このとき永明は28歳。一般的な雄のパンダの繁殖年齢が20歳までと言われるなか、28歳で自然交配(交尾)によって繁殖に成功したのは画期的なことだ。中国が国外にパンダを送り出すのは繁殖研究が基本にある。楓浜の誕生により、永明の中国帰国は遠のいたかに思われたが、シンポジウムから4年近くを経て帰国が決まった。

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