工事開始から6年「立石再開発」なかなか進まぬ訳 東京屈指の飲み屋街を変える大胆な計画
判決はAさんの主張を全面的に認めたわけではないのだが、以下の判決文からは理事という立場を考えると情報開示は必要としていることがわかる。
「被告(準備組合のこと)の予算規模や借入金の額が高額であるにもかかわらず、証拠上、その担保とされる資産がうかがわれないから、被告の理事(Aさん)が職務の懈怠を理由として法的責任を追及される場合には、相当高額な賠償責任を負う危険性がある。以上の事情に加え、原告が被告の理事に就任するに先立ち被告に守秘義務の記載もある念書を差し入れていることも併せ鑑みると、被告の理事については、謄写はともかく、被告が所持する文書について、閲覧についての制限は課されないものというべきである」
「閲覧させるべき文書を閲覧させなかった事実ない」
一方、準備組合は「判決においては、元々、組合が理事に対し、閲覧を認めている委託業務の成果物について、改めて閲覧をさせるよう命じられたものであり、裁判によらずとも、理事において、委託業務の成果物の閲覧は可能でした。組合が理事に対し、閲覧させるべき文書(個人情報等の機密性の高い情報が含まれる資料を除く)を閲覧させなかったという事実はありません」としている。
その後、2021年7月の役員改選時にAさんは監事に立候補したものの、定数(2名)を超える立候補があったため、選挙で落選。それからもAさんは1人の地権者として組合には参加しているが、この1年間で組合からの連絡は2回。総会のお知らせだけだったという。
その後、南口東地区ではしばらく事業協力者がいないままだったが、前述したように2022年9月に新たな事業協力者が決定。現在は準備組合から再開発組合へと動き始めている。
また、南口東西両地区でコンサルタント事業を一手に引き受けていた会社も交替になっており、2022年8月の総会では10月に新たなコンサル会社が選定される予定とされていた。どちらの再開発もこれから再スタートというところで、ニュースなどで再開発を聞いたことがあるという人が思っているほど進行していないともいえる。
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