「アバター2」が2700億円売り上げないと困る理由 これまで達成できた映画は前作などわずか5本

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やはりジェームズ・キャメロンが監督し、当時、史上最高の世界興行成績を達成した『タイタニック』も同様。『タイタニック』は1997年12月19日に公開され、北米で3月29日まで首位をキープ。4月末まで5位以内にとどまった。『タイタニック』の『Rottentomatoes.com』の数字は87%だ。

『アバター2』も、おそらく同じパターンになることが期待される。それに、状況的には、さらにプラス要素もある。ひとつには、3Dで上映できるスクリーンの数が、13年前よりずっと増えていること。1作目の頃は、かなり限られていた。

チケット価格も、今は当時より高い。『アバター2』をIMAXの3Dスクリーンで、週末の夜に見ようとするなら、ロサンゼルスの中心部だと、チケットは26ドル(約3500円)もする。また、『アバター2』は、世界2番目の映画市場に成長した中国でも公開が決まっている。

普通ならヒットの目安は北米だけで135億円超え

それでも、プレッシャーがないわけではない。今作には3億5000万ドルから4億ドルにも及ぶと言われる巨額の製作費がかかっており、全世界で最低でも20億ドル(約2700億円)売り上げなければ元が取れないとキャメロンは語っているのだ。これまでに20億ドル以上を売り上げた映画は、『アバター』『アベンジャーズ/エンドゲーム』『タイタニック』『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の5本だけ。

長いこと、ハリウッドでは、北米で1億ドル(約135億円)を超えることがひとつのヒットの目安とされてきている。マーベル映画や『ワイルド・スピード』シリーズ、『スター・ウォーズ』など大型予算がかかった近年の映画だと、全世界で10億ドルが目標だ。10億ドルに達成すれば、普通ならシャンパンを開けて大喜びをするもの。しかし、『アバター2』の場合、キャメロンは、それでは全然足りないというのである。

そこまでお金がかかった理由は、テクノロジーだ。1作目でもキャメロンと彼のチームは最先端のテクノロジーをいくつか開発したが、海が主要な舞台となる今作では、水中でパフォーマンス・キャプチャーを行うという、それまで誰もやってきていないことに挑戦している。

そのためのカメラも新しく開発したし、何度やってもうまくいかず、400回以上もやり直したエフェクトのショットもあるらしい。時間がかかるということは、つまり、それだけお金がかかるということだ。

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