言い争いが絶えない職場を変える「伝えるスキル」 欠けているのは「話す技術」ではなく「聴く技術」

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コミュニケーションで大切な「伝える」「聴く」コツについて紹介します(写真:kotoru/PIXTA)
わたしたちの日常には論争があふれています。どちらが正しく、どちらが間違っているのか。言葉の強者が場を支配する、弱肉強食の世界です。でも、わたしたちが会話に求めているものは、それではないはずです。
1人ひとり、おかれた環境は異なるため、多様な人たちが集まれば意見が異なるのは当然です。とくにビジネスの現場では、さまざまな対立やすれ違いが日常的に発生します。しかし、同じ組織の一員として目指すものが同じなのであれば、お互いの意見を戦わせる前に、「どうしてそう考えるのか」を深く理解しあうことが大切です。
そこで重要なのが、信頼関係をつくり、問題を解決するための「コミュニケーションの技術」です。そのメソッドは「伝える・聴く・問う・共創する」というプロセスに分けられます。この記事は、起業家である斉藤徹氏の書籍『だから僕たちは、組織を変えていける ワークブック』から、コミュニケーションの技術において信頼構築のために重要な「伝える」「聴く」についてお伝えします。

相手のことを傷つけずに伝える

異なる価値観の2人が異なる立場で世界を見れば、意見が食い違うのは健全なことです。でも、それを言葉にして伝えられないのがもどかしい。言ったら、きっとあの人は怒るだろう。もしくは、悲しむかもしれない。

そんなとき、とっておきのコツがあります。相手を変える言葉ではなく、「わたしを伝える言葉」を選ぶことです。ポイントは「あなたメッセージ」ではなく、「わたしメッセージ」で伝えることです。

たとえば、相手にポジティブな感情を伝えるときにしがちなのが、相手の行動を「ほめる」ことです。しかしこれは少し注意が必要です。理由は3つ。「立場の上下」を意識させてしまう、「ほめられるための行動」をうながしてしまう、「条件を達成しないとわたしには価値がない」と思わせてしまう、からです。

相手にポジティブな感情を伝えるときにおすすめなのは、「わたしを主語」にした「勇気づけ」です。わたしの気持ちとして「ありがとう」という感謝の言葉や、「うれしい」という喜びの言葉を伝えることです。結果のいかんにかかわらず、そのプロセスにおいて感じたポジティブな気持ちがあれば、それを率直に伝えることからはじめましょう。

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